北京は治安が安定しているが“気をつけるべき場所”は存在する

毛沢東記念堂

世界中から様々な思想を持った人々が集まる首都・北京

ガイドは約25年、北京で生活をしていますが「危ないから気をつけないと……」と思う場所はありません。ちなみに、2015年に英国誌「エコノミスト」が発表した世界50都市の安全度ランキング(※)では、北京は37位、中国大陸でトップは上海で30位、続いて深セン32位、天津37位、広州38位となっています。1位は東京、2位はシンガポール、3位は大阪でした。

実際は、日本とほぼ同じぐらい治安は安定していると思いますが、北京にも気をつけたほうがいい要注意スポットがいくつか存在します。ここでは具体的な場所を挙げながら、危険への対処法についても詳しくお話していきます。まずは、北京全体を大きく見てみましょう。

※世界50都市の安全度ランキングは、「サイバーセキュリティ」、「医療・健康環境の安全性」、「インフラの安全性」、「個人の安全性」の高さで評価。
   

北京で治安の悪いエリアってどこ?

天安門

北京は天安門(故宮博物院)を中心に町が形成されている

北京”といっても総面積は日本の四国に匹敵するほど広く、エリアごとそれぞれ違った特徴があります。比較的治安が良いと言われる北京でも、地域によっては要注意とされるところもあるんです……。さて、北京で危険なエリアと言われるのは、いったいどこなのでしょう?

 

北京は北部よりも南部が危ない!?

国貿中心

目覚しい発展を遂げるCBD
(北京商務中心区)

北京は清朝時代、支配者であった満族が街の北側に、被支配者であった漢族が町の南側に住んでいたという歴史的な背景から、北部のほうが南部より、ずっと開発が進んでいます(北京エリアの詳細は「北京のエリアガイド」を参照)。実際、故宮博物院(紫禁城)を町の中心に構え、王室庭園や離宮、寺院、皇室陵墓など著名な歴史遺産のほとんどが北部に存在します。

また、近年の開発においても北部の発展は目覚しく、北京首都国際空港、CBD(北京商務中心区)と呼ばれるビジネス街や、金融街(北京のウォール街)、大学エリア、中国のシリコンバレーと言われる中関村、オリンピックスタジアム、大使館街など都市の根幹を成す機関が北に集中しています。

一方の南部には、特記するようなものはなにもなく、北京では「南部=労働者の居住区」というイメージがいまだ存在します。ただし、現在南部も急ピッチで開発が進んでおり、南北格差はかなり縮小。南部の治安も改善さつつあります。
 

北京の大興区は犯罪者天国?

北京人に「どこのエリアが危ないの?」と聞くと、多くの人が「大興」と答えます。大興区は北京最南端に位置する地区で、地方労働者が集まることで知られています。2009年の建国60周年の大イベントの前には、「南部戦役」という名の公安局による治安取締りがなされたのですが、その際、大興区を重点地区として取り組んだようです。もちろん、大興が北京の他の地域と比べて格段に治安が悪いということはありませんが、注意するにこしたことはありません。ちなみに、大興区にある観光スポットは、映画やドラマのロケセットが見学できる「普陀影視培訓基地」、スイカ博物館で知られる「寵各庄梨花村」など。

北京の要注意スポット1「鉄道駅&長距離バス駅」

北京駅

北京駅。1959年に建設された北京で最も古い旅客駅

北京西駅

北京西駅。アジア最大規模の客運駅の一つとされる

十年前ならば、ここにもう一つ「北京首都国際空港」が入ったのですが、2008年北京五輪を契機に取締りが強化され、白タクや客引きなどがほとんどいなくなり、取締りが強化されたおかげで、だいぶ利用しやすくなりました。ガイドも年に数回利用するのですが、近年、不快な思いをしたことはありません。

それに比べ、北京から地方都市へアクセスするために利用する距離バス駅、特に鉄道駅は、残念ながら“まだまだ”。駅の周辺には白タクがうろうろし、通常20元ほどで行ける距離に「100元!」と吹っかけてきたり、旅行ツアーや旅館、変なマッサージ?の客引きがいたり、物乞いがいたり、かなり乱れています。スリや置き引きも少なくなく油断は禁物です。
 

■対処法
北京西駅

駅周辺にたむろする客引きは絶対に相手にしない

駅周辺にたむろしている“タクシー”は避けるのが無難。外観はタクシーでも正規のものではない場合もありますし、極僅かですが正規のタクシーが田舎モンを引っ掛けようと狙っている場合もあります。正規のタクシー乗り場がある場合は、それを利用するのもいいでしょうが、一番安全なのは、歩いて“駅”から、離れて流しのタクシーを拾うこと。タクシー争奪戦になった場合は、地下鉄や公共バスに一駅乗って、そこからタクシーを拾うのも一つの方法です。

スリはナイフを使ってカバンを切り、中から財布を奪うという悪質な手口のものもあるので、薄い生地のカバン、リュックは避けるのがベター。ショルダータイプのカバンは必ずファスナーのあるものにして、ファスナーが前になるよう持つのが安全です。人前で大金の入った財布を出すのは危険なので、大きなお金は別口でしまい、使う分だけポケットなどすぐ出せるところに入れておくようにしましょう。また、日本人だと分かると狙われることもあるので、大きな声で日本語を話すなど、目立つ行動は避けた方がいいでしょう。
 

北京の要注意スポット2「観光スポット」

八達嶺長城

八達嶺長城。観光地のお土産屋では、ある程度ぼったくられる覚悟が必要

鉄道駅ほどではありませんが、観光スポットもまた、カモを狙う犯罪者が集まる場所。入園チケット売り場前には「○○ツアーに参加しない?」、「○○旅館、安いよ!」などの客引きや、「毛沢東バッチ10個で100元!」といった押し売りがたむろしています。もちろん、スリや置き引き、ヒッタクリも少なくありません。

■対処法
こういうところで営業している「○○ツアー」は本当に安く、一見お得なように思えてしまうのですが、行く場所が違っていたり、ただのお土産屋ツアーだったり後悔するのがオチ。海外旅行の鉄則は「話しかけてくる人は信じるな」です。

スリやヒッタクリの対策は鉄道駅で紹介したのとほぼ同じですが、観光地で最も危ないのは「お土産を買っている時」。かわいいお土産に目を奪われたり、値段交渉に夢中になっている時が一番危ないのです。商品を見ながらも、しっかり荷物に気を配るように。また、観光地には日本人観光客を狙っている中国人が少なくありません。日本語で話しかけてくる人は、相手にしないようにしましょう。
 

北京の要注意スポット3「ナイトスポット・歓楽街」

三里屯

近年、北京のナイトライフが充実! でも、あまり気を抜くのは禁物

北京にもいくつか有名なナイトスポットがあり、毎晩、多くの人々で賑わっています(詳細は「北京のナイトスポット」を参照)。ナイトスポットといえばアルコールはつきもので、酔っ払いの喧嘩や小競り合いが起こりやすくなります。ここまでは万国共通なのですが、北京人は上海などの南方と比べ、喧嘩っ早く、ちょっとした言い合いが、取っ組み合いの喧嘩に発展するなんてことも少なくありません。

また、中国では麻薬や売春、賭け事が厳しく取り締まられていますが、実際、撲滅には至っていないというのが現状です。海外に出ると、ふと気が緩み、ついつい……なんてことになりがちですが、麻薬や売春、賭け事に対する中国の取り締まりは、日本よりずっと厳しいということを忘れてはなりません。麻薬の製造や販売、売春の元締めは状況によって死刑になることもありますし、軽い気持ちで手を出してしまい逮捕、懲役刑になることは少なくありません(詳細は「中国の治安」内の“中国のタブー”を参照)。海外だからこそ、気を引き締める――ぐらいの心構えでいるのが無難です。

■対処法
まず、選ぶナイトスポットですが、観光雑誌や旅行サイトで紹介されているような有名なスポットを選ぶのがベター。外国人のあまり立ち入らない場所にはなるべく行かないようにしましょう。また、夜遊びに行く際は、現金やカード、貴重品はできるだけ所持しないが鉄則。そして、できるだけ一人で出かけるのは避けるように。また、暗がりには行かない、話しかけてくる人を相手にしない、大声で日本語を話さない、移動は正規タクシーを利用するといった安全対策を忘れないでください。
 

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※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。