世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

ベネチアとその潟/イタリア(5ページ目)

400の橋、177の島、150の運河からなる水の都ベネチアは地中海最強を誇った海洋都市国家。ルネサンスの舞台でもあり、ビザンツ・ルネサンス・バロック・イスラムが混在する華麗な建築物が立ち並んでいる。裏通りを歩けば運河と歩道が入り組んだ迷路のような家並みが広がっており、舟巡りと町歩きが最高に楽しい街でもある。今回は文化遺産登録基準6項目をすべて満たしたキング・オブ・世界文化遺産「ベネチアとその潟」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

ベネチアへの道

サン・マルコ大聖堂

イスタンブールの教会群やビザンツ芸術に大きな影響を受けたサン・マルコ大聖堂。大聖堂というのは司教が座る司教座(カテドラ)のある教会堂のことだが、ベネチア大司教座がここに遷されたのは1807年で、それまではサン・ピエトロ・ディ・カステッロ教会にあった

■エアー&ツアー情報
日本からベネチアへの直行便はないのでミラノ、パリ、ロンドン、モスクワ、ドバイなどの都市を経由する。もちろん他のイタリア諸都市に入って陸路で移動してもよい。格安航空券で8万円前後から。ツアーは15万円前後から。

■周辺の世界遺産
イタリアは世界でいちばん多くの世界遺産を持つ国。ベネチアの周囲にも数多くの世界遺産がある。

50km圏内に16世紀の植物園が残る「パドヴァの植物園[オルト・ボタニコ]」、100km圏内にヴェネツィアとともにイタリア・ルネサンスを盛り上げた「ヴィチェンツァ市街とヴェネト地方のパッラーディオ様式の邸宅群」と「フェッラーラ:ルネサンス期の市街とポー川デルタ地帯」、古代ローマと中世の大聖堂が並び立つ「アクイレイアの遺跡地域と総主教聖堂バシリカ」がある。

150km圏内だとこれ以外に8件もあるし、高速鉄道を使えばフィレンツェ、ローマ、ミラノ、ナポリなどにも行くことができる。世界遺産を巡るルートを考えるだけで楽しくなるのがイタリアなのだ。

ベネチアのベストシーズン

何気ない街並み

何気ない街並み。ベネチアは裏の裏までフォトジェニック

サンタ・マリア・デイ・ミラーコリ教会

色とりどりの大理石で覆われた「ベネチアの宝石」サンタ・マリア・デイ・ミラーコリ教会

冬の平均最低気温は0度、夏の平均最高気温は約28度。東京よりやや寒い程度で気温の変化は日本と変わらない。雨は1年を通して日本の冬と同程度で多くはない。

四季折々で楽しみがあるので特にベストシーズンはないが、一般的には気候が温暖で食べ物がおいしい春と秋がベストとされている。

イベントでは、仮面で有名なベネチア・カーニバルが2~3月頃、ベネチア国際映画祭は8~9月頃。セリエAのシーズンは9~5月頃。キリスト教圏なのでクリスマスやイースターなども当然祝う。

気になるといえば本文でも紹介したアクア・アルタだが、10~2月前後に起こることが多い。私もこの時期に訪ねたが、アクア・アルタは条件が重なった満潮前後に起こるので、この時間を外せば水は引くし、ベネチアのすべてが水没するわけでもない。ツアーで駆け抜ける人がサン・マルコ広場でアクア・アルタに出くわすのはあまり望ましくないのかもしれないが、個人的には見ておきたい光景のひとつでもある。

 

世界遺産基本データ&リンク

観光用のゴンドラと中世の家並み

観光用のゴンドラと中世の家並み

庶民の足、ボート

庶民の足、ボート

【世界遺産基本データ】
登録名称:ベネチアとその潟
Venice and its Lagoon
国名:イタリア
登録年と登録基準:1987年、文化遺産(i)(ii)(iii)(iv)(v)(vi)

【関連記事&サイト】
  • 前のページへ
  • 1
  • 3
  • 4
  • 5
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます