栄養管理/メタボ予防・減量したい人の栄養管理

グルテンフリーダイエットって何?

アメリカで流行しているグルテンフリーダイエットを日本でもよく耳にするようになってきました。体重を減らすためのダイエット、それとも病気の食事療法なのでしょうか? アメリカに住むガイドが紹介しましょう。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

アメリカで数年前から大流行している「グルテンフリー」という食事法が日本でも知られるようになってきました。グルテンフリーダイエットは元々は病気やアレルギーの食事療法でしたが、今ではアメリカの一般的なスーパーやレストランでもグルテンフリーのメニューや商品をよく目にするようになりました。このグルテンフリーダイエットとはどういうダイエットなのか説明しましょう。

ダイエット=減量できる?

「グルテンフリーダイエット」を日本語でいうと「グルテン除去食」です。日本語で「ダイエット」というと必ず「減量」というイメージがありますが、アメリカ英語で「Diet」という場合は、基本的には「○○食事法」という意味です。よって、ダイエット = 減量という意味ではありません。

グルテンって何?

グルテン

グルテンは数多くの食べ物に含まれています。

グルテンとは小麦・大麦・ライ麦などに含まれるたんぱく質のことです。グルテンはパン作りに必要です。また、うどんなどの麺類のコシもグルテンによるものです。グルテンは、うどん、そうめん、中華麺、餃子、麦ご飯、醤油、麦味噌、お好み焼き、たこ焼き、ホットケーキ、カレー、パン、ピザの生地、クッキーやクラッカーなどのお菓子に入っています。

グルテン除去食の効果は?

グルテン除去食をする理由には、1)セレブでヘルシーなイメージがある、2)セリアック病で永久的にグルテン除去食が必須、3)麦アレルギーでグルテンの管理が必要、4)IBSなどグルテン不耐症でグルテンを食べると体の不調がでる、の4つが主なものだと思います。それでは一つずつ見ていきましょう。

  • 1)セレブでヘルシーなイメージ
グルテン除去食は、セレブの間で流行がはじまったこともあり、一般の人にも広がっている印象があります。アメリカでは、グルテンフリーという言葉自体が、おしゃれでヘルシー、さらにセレブという印象を与えていると思います。上にも挙げた通り、グルテンは大変多くの食品に多く含まれます。病気やアレルギーのある人以外では、特別に作られた食品をいつも食べれる環境にあるセレブ的な立場の人でないと続けにくい食事法だと感じます。だからこそ、セレブでおしゃれなイメージを保っており流行が続いているのかもしれません。グルテン除去食では、多くの市販のお菓子や加工食、パンやパスタが食べられないので、自然とカロリーダウンになり痩せるという効果も確かにあるかもしれません。

  • 2)セリアック病
セリアック病の子供に見られる症状には、慢性的な下痢、お腹の張り、お腹の痛み、嘔吐、便秘、脂肪便、体重低下、いらいらなどがあります。大人では消化器官以外に症状が見られることが多いようです。主なものには、不妊・流産、疲労、皮膚のかゆみや湿疹、骨や関節の痛み、鉄欠乏性貧血、関節炎、骨粗しょう症、うつ、手足のしびれ、てんかん、月経異常などがあります。問題点として、グルテン摂取時に明らかな害が見られなくても、グルテンを食べ続けることによって小腸にダメージを与え続け、貧血、骨粗しょう症、流産などにつながったり、肝臓病や腸の癌になる可能性がある事だと考えられています。セリアック病はアジア人にはまれな病気だと考えられていましたが、アメリカの統計では、アメリカに住むアジア人236人に1人がセリアック病であるという報告もでています。日本ではあまり認識されていない病気のため、見過ごされているケースもあるかもしれません。現在のところ、グルテン除去食以外の治療法がなく、厳しい食事療法を一生続ける必要のある対応がとても難しい病気です。
  • 3)麦アレルギー
湿疹がでる程度の場合もあれば、命を落としかねないアナフィラキシーショックに陥る場合もあります。血液検査ではアレルギーという診断がついても、アレルギーがあるはずの食品を食べてもアレルギー反応がでないこともあり、診断がはっきりしないことがあります。最近では血液検査だけで判断せずにアレルギーが疑われる食品を食べて反応をみる食物負荷試験(※ショック症状などがでることもあるため医師の管理のもと行います)も広まってきています。また、以前は食物アレルギーがあれば食べないというアプローチが一般的でしたが、最近では少しずつ食べて体を慣らせるアレルゲン免疫療法(減感作療法)も医師の管理のもと行われてきています。アレルギー=除去食というような単純なものでは無くなってきました。除去食は準備する方も食べる方も大変なので、本当に除去食の必要があるのか、ずっと続ける必要があるかを専門医にしっかり相談する必要があります。

  • 4)グルテンの消化・代謝不良
グルテン不耐症、グルテン過敏症、麦の消化不良、IBS(過敏性腸症候群)などがこのカテゴリーに入ります。体調不良なのに原因がよく分からない……という場合にはグルテンフリーダイエットをする人も見られます。生死に関わりうる上記のセリアック病や麦アレルギーと異なり、検査などを受けてもはっきりとした異常が見つかりません。はっきりしないこそグレーな部分が多く大変注目されています。
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