マーケティング/マーケティング事例

AKB48に学ぶ売れない時代に売るマーケティングとは?(2ページ目)

深刻な音楽不況にもかかわらず快進撃を続けるAKB48。他のアーティストが苦戦を強いられる中、なぜAKB48だけは売れ続けるのか?その秘密に迫り、売れない時代に売るマーケティングを考えていきます!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド


なぜAKB48は売れるのか?

なぜ、AKB48は他のアーティストが苦戦を余儀なくされる中で、記録的なヒットを続けることができるのでしょうか?

その秘訣を浮き彫りにして、自社のマーケティング戦略に取り入れれば、どんな環境であっても成果を上げることができそうです。

AKB48が売れる理由は数多くありますが、最も重要な要因を挙げれば、徹底的にファンのニーズに応える姿勢といえるでしょう。

もともとAKB48は「会いに行けるアイドル」というコンセプトでスタートしたプロジェクトであり、それまでの「アイドルは近寄り難い偶像的な存在であり、遠くから応援するもの」という常識を覆してきました。

これまでは“完成されたアイドル”への憧れからCDを始めとしたアイドル関連商品をファンが購入するというビジネスモデルでしたが、AKB48では“未完成のアイドル”をファンが間近で応援しながら夢の実現をサポートしていくという新たなビジネスモデルへの転換を図って大きく成功を収めたのです。

消費者の財布に余裕があり、様々な商品を購入できる場合には、マスメディアを最大限に利用した“空中戦”で、購入を促していく戦略が有効になりますが、不況で財布の紐が堅くなっている現代のような環境では、より顧客に密着した“接近戦”で、顧客の心に直接訴えかけて財布の口を自ら開けてもらう戦略が効果を発揮するようになります。

実際にAKB48は今では“国民的アイドル”とも言われていますが、その売上を支えているのは一部の熱狂的なファンといえるでしょう。

たとえば、今年は発売された5枚のシングルの売上は、 「GIVE ME FIVE!」143万枚、「真夏のSounds Good!」182万枚、「ギンガムチェック」130万枚、「UZA」121万枚、「永遠プレッシャー」107万枚ですが、発売1週間での売上がそれぞれ129万枚、162万枚、118万枚、113万枚、107万枚に上りました。つまり、この統計から売上のほとんどは普段から販売を待ちわびている熱狂的なファンの購入によるものと推測できるでしょう。

ライトなファンであれば、歌自体はYou TubeのAKB48の公式サイトでプロモーションビデオを無料で視聴できるのでお金を出してまで買う必要はないと思うかもしれません。

そこで、熱狂的なファンに対して「これでもか!」というほどのおまけを付けることにより付加価値を高め、購入に結び付けているのです。

具体的には、シングルを購入するとAKB48のメンバーと直接触れ合える握手会の参加券や生写真、特典映像満載のDVDなど、ファンであれば是非とも手に入れたい特典が満載されています。

加えて“AKB商法”として賛否両論はあるものの、カップリング曲を変えるなどして様々なバーションを提供することにより、1人のファンが何枚も購入したくなるような仕掛けを施し、売上を伸ばしているというわけです。


最後のページでは、売れない時代に売るマーケティング戦略についてお伝えしていきます!
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