起業・会社設立のノウハウ/事業計画書・ビジネスプラン

一人起業メリット・デメリット!一人会社を開業するためのノウハウ

昨今、コンサルタント、webサイト運営事業者、営業代行など様々なビジネスで増えてきた一人での独立開業(一人起業)。一人起業にするにあたってはメリットだけでなく、知っておくべきデメリットや留意点があります。一人起業する場合、気を付けるべきノウハウを公開します。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド

一人で起業

一人で起業

 

一人起業するときに気を付けるべきことは?

一人で起業・独立開業をする場合、代わりとなる人間がいないため何から何まで自分で行わなければいけません。会社員時代には気づかなかったような周囲のサポートや、間接業務が全て自分にのしかかってきます。
一人起業の場合、安心して事業を継続していくためにマンパワー不足への対応や時間活用、老後への備えが欠かせません。一人起業のメリット、デメリット、また意識すべきことについて、起業コンサルタント(R)、税理士、社労士、行政書士、CFP(R)として、多くの一人起業をサポートしてきたガイドが解説します。
   

一人起業の資金等のメリット4つ

一人起業には特徴的なメリット・デメリットがある

一人起業には特徴的なメリット・デメリットがある


一人起業には、特徴的な以下のようなメリットがあります。

1.金銭的な負担が少ない
複数での起業とは違い、一人起業であれば、自分と家族の食いぶちさえ確保できれば良い状態からスタートできます。

2.時間に縛られない
会社員時代や複数での起業とは違い、一人起業の場合、厳格な時間管理の元で仕事を行う必要はありません。基本的に自由です。

3.労務管理や人間関係から開放される
一人で起業・独立開業するということは、部下も上司も同僚もいないため、自分の意思に従い、ある程度は勝手気ままに仕事を進めることが可能です。

4.定年退職がない
一人起業の場合、基本的には定年退職というものがありません。会社員時代の定年年齢に達した後も、自分が納得するまで働くことが可能です。
 

一人起業の仕事量等のデメリット4つ

逆に一人起業ならではの以下のようなデメリットがあります。

1.マンパワー不足のリスク
一人起業では、何から何まで自分一人でこなす必要があるため、マンパワー不足に陥るリスクがあります。普通に仕事をしていたら全く時間が足りない可能性があるため、何らかの工夫が必要です。

2.仕事とプライベートの区別がつきにくい
時間に縛られないということは、裏を返せば仕事とプライベートの時間的な区切りをつけにくいということです。ともすると、朝起きてから夜寝るまでずっと仕事をしている状態にもなりえます。

3.健康的なリスク
一人起業の場合、健康上のリスクが常につきまといます。例えば、風邪で高熱を出したとしても代わりに仕事をしてもらう人がいないため、何とかするしかないという状態となります。

4.老後の備えのリスク
一人起業では、定年退職がないというメリットもある反面、老後の備えが不足してしまった場合、いつまでも働かなくてはならないという可能性も抱えます。

ではそれぞれについて、どのような対策がとれるのか?見ていきましょう。
 

1人会社開業ノウハウ1:マンパワー不足に対応するには

一人起業した途端に気づくのが、何から何まで自分でしなければならないという現実。会社員時代は総務、人事、経理などの間接部門、営業サポートのスタッフや直属の部下など、周りの見えないサポートによって支えられていたということに、いまさらのように気づいたりするのです。

ただ、これからは全てを自分でしなければなりません。一人だけで仕事をこなしていくにはどうすればいいか、最初によく検討しておきましょう。

【アウトソーシングの活用】
全てを自分でこなしたい、コストを節約したいという思いから、一人起業する人は他者に何かを依頼することを避ける傾向にあります。ただし、与えられている時間は誰でも24時間。そして全てを完璧にこなせる人間なんていません。自分が得意なことと不得意なことに仕事を分類し、不得意なこと、自分でする必要のないことは専門家や外注業者に依頼しましょう。

依頼費用よりも時間コストを優先し、自分が得意なことに優先的に時間を配分できる人が成功しているように思えます。経験上、以下のようなものについては外注を検討してみることをオススメします。

■記帳代行、税務申告
外注した方が効率が良い典型的な仕事です。素人と専門家で処理時間がこれほど差がある仕事はないでしょう。仕事として経理経験がある人以外は外注することをオススメします。月数万円で経理スタッフを雇用できたと思えば、全然高いコストではありません。

■電話代行
一人起業の弱点のひとつが、電話での問い合わせや連絡があったときに対応できない可能性があることです。打合せをしているとき、車や電車で移動しているとき、地下街を歩いているときなどが考えられ、運が悪ければ、商機を逃す可能性があります。固定電話会社の転送サービスを使って、携帯電話に転送するだけの方法もありますが、打合せ中などには結局出ることができないため対応できません。電話秘書代行サービスを契約して、営業時間中はいつでも対応できる体制を構築することをオススメします。月額5000円くらいから契約可能です。

■ホームページ作成など
コストを抑えるために、自分でホームページ作成を行おうとする人もいますが、あまりオススメできない方法です。趣味で作るレベルのホームーページで集客できるほど、web集客の世界は甘いものではありません。仕事でホームーページ作成などをしてきた人以外は、専門業者に正式に依頼することをオススメします。そこからの売上として成果が上がれば、結果的にそのコストは回収できるはずです。

■その他
その他にも外注できることは積極的に外注しましょう。例えば、大量の文書をシュレッダーするのに時間を使うくらいなら、機密文書処分サービスを依頼するなどです。

【集客方法の工夫】
一人起業では、足を使って積極的に営業して廻るなど、泥臭い集客の手法を行うには時間もマンパワーが足りません。できる限りプル型の待ちの営業手法を構築したいものです。具体的には、webサイトでの集客体制の構築、ジョイントベンチャー網の構築による紹介営業の推進などです。集客に関する戦略は重要です。起業前によく検討しておきましょう。

【家族の理解】
一人起業では、特に家族の理解が重要となります。起業に対しての家族の理解を深めておくことができれば、忙しくてどうしようもないときに手伝ってもらうこともできます。
 

1人会社開業ノウハウ2:時間管理を徹底しよう

一人起業した場合、限られた1日24時間をどう活用するかで、1日30時間にも匹敵するような仕事をこなすことが可能になります。以下のような時間管理方法をオススメします。

【時間配分を工夫する】
どの時間に何をするかを意識するだけで、仕事の効率は断然上がります。以下のような時間配分をオススメします。

■午前9時~11時
朝起きてから2~3時間くらいからが脳の働きが一番活発になる時間帯。この時間帯には複雑な思考が必要な仕事、集中力が必要な仕事を組み込みましょう。通常の2~3倍の成果が上がるはずです。

■午後2時~4時
昼食後で眠気が襲う時間帯。この時間帯には、人に会う仕事、打ち合わせなどを組み込みましょう。相手がいる状態を作ることにより緊張感が生まれ、眠気を吹き飛ばすことができます。

■午後4時以降
ここからは一日使った脳が疲労し、集中力が低下する時間帯です。雑用は、なるべくこの時間帯までとっておくようにしましょう。気分転換にもなり、一石二鳥です。

【細切れ時間の活用など】
移動時間など、細切れの時間のために仕事をとっておく方法です。歩きながら電話もできるし、スマートフォンを使えば、電車の中でメールを返すことも可能です。
その他、まとめて処理する、先回りして準備する、早めに連絡するなど、他にも多くの時間管理手法があります。常に効率的な時間管理を意識して、時間をひねり出したいものですね。

【時間の節約にコストを惜しまない】
一人起業の場合、時間の節約のためには投資コストを惜しまないことが必要です。もったいないからといって起業前から使用している旧型のPCや複合機などをそのまま使用したりするケースがありますが、むしろ時間コストの方がもったいないと考えるべきです。起業を機に高性能な最新型に買い換えてしまいましょう。

【移動時間の節約】
移動時間そのものを削減するために以下のような方法も活用するべきです。

■スカイプなどの活用
人に直接会って膝をつき合わせて打ち合わせをするのが一番ですが、時間短縮のためには打ち合わせも効率化したいものです。スカイプなどでの打ち合わせを活用すれば、往復の時間を削減する事が可能。ヘッドセットとwebカメラ、それぞれ数千円の投資で移動時間を節約したうえで打ち合わせ可能な環境を構築できます。

■郵便、メールの活用
郵便やメールなどの通信手段で対応可能な仕事については、思い切って方法を切り替えてしまうことをオススメします。
 

1人会社開業ノウハウ3:健康管理はしっかりと

経営者としてのの健康管理

一人起業は健康管理が最重要


一人起業の最大のリスクは、病気やケガのときに収入が途絶えてしまう可能性があることです。いくら健康や体力に自信があるといっても、病気やケガは誰にでも突然襲いかかる可能性は回避できないもの。万が一のときに備えて、備えを万全にしておきましょう。以下のような対策が考えられます。

【体力をつけておく】
一人起業では、何から何まで自分でする必要があります。特に最初の約3ヶ月はやるべきことが山のようにあるため、体調を崩すこともしばしば。それに備えて会社員時代から基礎体力をつけておきたいものです。ガイドも起業・独立開業前からフィットネスジムに通い、スイミングを続けています。体力をつけておけば、繁忙期の多少のムリなら楽に乗り越えられるでしょう。

【あらかじめ受診しておく】
起業・独立開業後は忙しくて、なかなか医者に通う時間が取れないという状況になりえます。そのため、事前に一度、健康面でのチェックをしておくことをオススメします。ガイドも起業・独立開業前に歯医者に通い、虫歯の治療と親知らずの抜歯を全てしておきました。事前に少しでも健康面でのリスクと時間的な負担を減らしておきましょう。

【健康診断を欠かさずに】
会社員時代とは違い、一年に一度、定期健康診断が自動的に行われるということはありません。自分で意識して健康診断や人間ドックを申込み、受診しましょう。忙しくてついつい忘れがちなため、仕事が少なくなるシーズンを受診時期と決めて、毎年欠かさずに受診することをお勧めします。

【今まで以上に健康に留意する】
会社員時代とは違い、有給休暇などありません。ましてや、一人で起業・独立開業となれば、そもそも代わりにやってくれる人もいないのです。風邪を引いて高熱が出ても、飲み過ぎて二日酔いになっても、翌日に大事な仕事が入っていれば、這ってでもやらなければなりません。

インフルエンザの予防注射を受けておく、風邪が流行っていたらマスクを着用する、飲み会では飲み過ぎに注意して必ず終電までには帰るなど、自分なりの健康管理のルールを確立し実行しましょう。

【所得補償保険への加入】
あらかじめ健康管理に留意していたとしても、病気やケガになってしまうリスクは避けられません。例えば、入院などにより仕事がストップしてしまったとき、収入の減少分をどうするかも考えておくことが必要です。

一人起業をする際に必ず加入しておきたいのが、所得補償保険。病気やケガで働けなくなるなど就業不能状態になったとき、保険金として設定した一定金額を月額で給料のように受け取ることができます。入院費用、手術費用をカバーする医療保険の他に、収入減少分をカバーする所得補償保険にも加入しておけば、万が一の収入減少に対するリスクを回避でき安心です。

所得補償保険は、保険会社によりいろいろなタイプが提供されています。1年間~2年間の比較的短い就業不能状態の収入をカバーするものから、60歳、65歳まで補償する長期のもの、メンタル疾患に対応するものまで様々。保険料や他の保険とのバランスも考えつつ加入して、備えておきましょう。
 

1人会社開業ノウハウ4:老後に備えて

一人起業をしたあとは、会社員時代とは違い、老後の備えも自分で用意する必要があります。定年退職を迎えて支給される退職金をあてにするということはできないのです。起業・独立開業後、事業がある程度軌道に乗った段階で、老後の生活への備えについても考えておきましょう。以下のような方法があります。

【国民年金、厚生年金保険】 
まず、個人事業であれば、国民年金の保険料を納めておくこと、会社組織であれば、厚生年金保険に会社として加入して保険料を納めておくこと、これは法的義務であり、国民として当然のことです。起業・独立開業した時点で、必要な手続きを行い、未納にならないように注意しましょう。手続きなどが不安であれば、社会保険労務士に確認することをお勧めします。

【個人年金保険】
先行き不透明な中、公的年金以外にも備えをしておきたいものですよね。ぜひ個人年金保険にも加入しておくことをオススメします。所得税の控除も受けることができ、節税にもつながります。月1万円程度の保険料であれば、負担も少ないのと同時に節税効果も大きくなります。

【確定拠出年金】
一人起業した方が、老後に備えて、貯蓄や投資信託などで資産形成をしようとする場合、確定拠出年金の活用も検討してみることをオススメします。通常の貯蓄や投資信託への投資では節税効果は0ですが、確定拠出年金経由であれば、節税効果を享受しつつ、老後に備えた資産形成をすることができます。

大きいのは、掛金が全額所得税からの控除が認められていること。また運用益に対する税金も非課税のため、更に節税メリットが大きくなります。ただし、運用商品の選択により元本割れするリスクもあるため、運用商品の慎重な選択が必要です。

【小規模企業共済】
もう一つ、節税効果が高い資産形成法として、小規模企業共済への加入があります。小規模企業共済とは、個人事業としての将来の事業を廃止、会社の役員としての退職など、第一線を退いたとき、それまで積み立ててきた掛金に応じた共済金を受けとることができる経営者の退職金のような制度。

大きいのは、受け取った共済金が税法上、退職所得扱いまたは公的年金等の雑所得扱いになる点です。これにより、大きな節税メリットを享受することが可能です。ただし、早期の解約などの場合、解約手当金が掛金残高を下回る可能性もあるため、加入の際の税理士に確認しながら進めることをオススメします。


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