ジェームズ・ボンドとマティーニ
新感覚マティーニ「フレミング89」
マティーニ・シェークのファンに大いに嫌われることを覚悟であえて言う。
ドラえもんはどら焼きが好物だが、『ザ・ドラえもんズ』に登場するロボット養成学校時代のドラえもんの親友たちで、アメリカのドラ・ザ・キッドはケチャップとマスタードをどら焼きにかける。中国の王(ワン)ドラはラー油と酢と醤油がどら焼きには必要だ。
ボンドのマティーニ・シェークもそういう発想であるとわたしは考える。冒険活劇の世界である。ボンドのダンディズムを語る上でのアナザー・アングルであり、こいつは普通の男とはちょっと違うぜ、という感覚で捉えればよいのではないか。
「フローリスNo.89」¥10,500(100ml)
このことに関しては、サントリーのリキュール&カクテルのホームページで連載している『オンドリのしっぽ 第10回ボンドとデュークス・バー/ビーフィーター ジン』(2012年1月末掲載)で述べているので、そちらをお読みいただきたい。
現在デュークス・バーで人気のマティーニのひとつに、チーフバーテンダーのアレッサンドロ・パラッツィ氏が考案した『007』ゆかりの新感覚マティーニがある。ウオツカをベースにした「Fleming89」である。
アレッサンドロ・パラッツィ氏、GW来日
フローリスがイアン・フレミングに宛てた礼状
そう、『007』作中で、ジェームズ・ボンドが愛するトワレとして登場する。
アレッサンドロ・パラッツィ氏はこのNo.89の香りからインスピレーションを得て、新感覚マティーニ「Fleming89」を創作した。
これももちろんステアなどしない。冷凍庫でキンキンに冷やしたウオツカを使い、まあいろいろ入る。クリスタライズされた薔薇(ピカデリーの高級食材店フォトナム&メイソンで売っている色調にチェリーを使った花弁の砂糖漬けみたいなもの)やチョコレートビターを垂らしたりするのが印象的だ。
時間が経つにつれて香りが増していく面白味があるが、味わいは甘いからアルコールに強い女性向けといえる。ちなみに19ポンド。
ジャーミンSt.89番地、フローリス本店
ロンドンまで行ける人はリッツの裏手の閑静な場所にデュークスホテルはある。しかもホテルと同じセント・ジェームズ地区にフローリス本店(ジャーミンSt.89番地)があるのでどちらも訪ねるといい。
デュークス・バーのカクテル・サービスはとても美しい。惚れ惚れとする。出かける価値はある。フローリス本店は英国の歴史的文化遺産だから、ここの店内を覗くのもいい。
ちなみに『FLORIS No.89』はチャールズ皇太子もご愛用のトワレである。
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