京都グルメ/京都のイタリアン

ビーニ (旧店名:エノリテカ イ・ビーニ)(3ページ目)

京都・銀閣寺近くに昨年オープンしたイタリアン「ビーニ (Bini)」。12年のヨーロッパ修業で培った実力とセンスから生み出される料理は、どれもイタリアンという枠を超えた、未体験の料理世界。その全貌を御紹介します。

執筆者:麻生 玲央

・ヤンバル島豚のロースト、ポルチーニ茸のクレーマとアンズ茸のストウファート
Sella di maiale arrostito con crema di porcini e finferli stufati

Sella di maiale arrostito con crema di porcini e finferli stufati

メインの肉料理は「ヤンバル島豚のロースト」。フレッシュポルチーニ茸のクレーマと、少し炙ったアンズ茸のストウファートが添えられ、秋の香りに包まれた珠玉の仕上がりとなっています。

皿の上の盛り付けのエレガントさは、まるでフレンチのようですが、シェフが今まで12年のヨーロッパ修業で培った実力とセンスはイタリアンという枠を超えて、皿の上でシェフならではの料理世界を生み出しているかのよう。

ポルチーニ+アンズ茸という馨しい秋香もさることながら、ヤンバル島豚(ロース)のリッチな旨味(脂の甘味も含めて)が特筆物! クレーマとソースによってシッカリとした味はついているのですが、それ以上に素材の滋味と旨味(甘味)が強くて、これは記憶に残る味わい。

中はしっとりピンク色、皮目は炭火でパリっと焼き上げられて、この焼きテクニックの巧みさもさすがですね。


・リンゴの“タルト”の新解釈

Nuovo interpretazione di Torta di mele

Nuovo interpretazione di Torta di mele

なんとドルチェはタルトタタンの再構築! イタリアンで再構築系というのも大変珍しい試みだと思いますが、それをここまでハイレベルな構成で表現される、シェフのセンスと実力に素直に脱帽です。

もちろん、凄いのは完成度の高さだけではありません。まず生地代わりのジェラートですが、中には焼いた後に細かく砕かれた生地を練りこませてあるのですが、解らないくらいにねっとりとした食感を実現。また、ジェラートの先頭に添えられたミントの花びらも美しいアクセント。

そして温かい板状のキャラメルの下には主役のリンゴが忍ばせてあり、ジェラート+キャラメル+リンゴが三位一体となって、それぞれの素材感が絡み付くようにして口いっぱいにとろける甘さをもたらせてくれるのです。


美食への追求心

焼き菓子盛り合わせ4種

焼き菓子盛り合わせ4種!

心尽くしと丁寧で繊細な調理から伝わってくる通り、中本シェフは真摯で気取らないお人柄ですが、それも長年ヨーロッパで料理長として腕を揮ってこられた実績と、自信の裏付けがおありだからでしょう。「単に値段が高い食材が最高の食材とは限らない」ときっばりと明言されるのも、厳しく確かな素材選びの目をお持ちゆえ。

また、シェフの得意料理は肉料理とのことですが、「日本に帰ってきて、新鮮な魚や大原の野菜などを扱うのが楽しく、これからも日本ならではの旬の素材を活かした新しい料理世界を開拓していきたい」と未来への進化は広がります。

注)  2017年、移転情報追加。
「ビーニ」は2017年9月15日に、京都市中京区東洞院通丸太町下る445‐1(カルムビル南側)へと移転オープンされました。当記事は移転前の記事となります。ご注意くださいませ。

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