マンション購入術/マンション情報収集術

これからどうなる?一生独身者の住宅選び 1(3ページ目)

前回の「シングルの新住宅双六(前編)」、「シングルの新住宅双六(中編)」の続き記事です。なぜ生涯未婚比率が高まるのか、その背景を知った上で、今回は、人口減少時代における「シングルの住宅双六」をみていきましょう。現在30代の単身者の新たな住宅双六。どのようなマスや選択があるのでしょうか。

大久保 恭子

執筆者:大久保 恭子

これからの家族と住まいガイド

定年後~75歳 「都心に住む」or「地方移住する」

50歳から考え始めた定年後の暮らしがいよいよ始まります。定年後の10年間、75歳になるまでは、一般的には身体も元気ですから、仕事以外のことに活動的に取り組むことができる期間です。そうなったとき、仕事の便利さを重視して選んだ都心の賃貸マンションは、仕事をしなくなってからも、引き続き快適に住み続けることができるのでしょうか。

都心でしかできない趣味や活動がある人は趣味の仲間やボランティアの仲間と積極的にかかわり、毎日をエネルギッシュに生きることが可能でしょう。そうした方々は引き続き都心に住み続けることに意味があります。ただし、やりたい活動や趣味がしやすいところへ賃貸マンションを借りて転居するのも、これからの人生をスタートさせるうえでの動機づけになるでしょう。

ただし、都心は生活コストが高いので、長生きすればするほど、生活資金がかかる、という長生きリスクが高まります。定年を機に生活コストが低く抑えられる地域に転居することも有力な選択肢になってきます。トカイナカの住宅ももちろん賃貸です。

単身者に適している地域はどこ?

さて、どのような地域がこれまで都心で暮らしてきた単身者に適しているのでしょうか。私は都心から日帰りで往復できる程度の距離にあるトカイナカ(都会と田舎の中間地域)をお勧めします。トカイナカであれば、都心でコンサートを楽しんだり、レストランで食事をしても、その日のうちに帰りつくことができます。

千葉県の外房、内房、茨城県南部、栃木県那須・黒磯周辺などがそれに該当します。こうした地域も人口減少により、多数の家が余ることが予想されます。こうした地域で社会活動や趣味が楽しめる方々は、相当安い賃料と生活費で充実した暮らしが実現できるのではないでしょうか。

私自身も50代に入ってから、定年後の暮らしをどこで始めるかを考え始めました。那須、日光、軽井沢、真鶴・湯河原、そして内房・外房など関東甲信越を中心に京都にいたるまで、不動産屋めぐりをした結果、内房と外房の中間に位置する里山に、居住地を決め、現在東京との複数居住を実践しています。東京まで車で1時間強、まさにトカイナカ暮らしです。野菜は自給自足、魚は地元産の食生活ですから、食費は東京の3分の2~2分の1で済んでいます。

地方移住もひとつの選択でしょう

思い切って地方移住という手もあります。現在、人口減少・高齢化で先をいく鳥取県などの地方都市は、他地域からの移住者を積極的に受け入れるために、空家バンクをつくって無料で空家を提供したり、仕事を紹介したり、積極的な取り組みをしています。移住・交流推進機構に42道府県市町村が参画し(2011.7月現在)、空家バンクで賃貸、売却物件の情報を提供しています。その気にさえなれば、地方移住はずいぶんしやすくなってきました。

半面、50歳代も仕事一筋で特にこれといった趣味もない、という方にとって、都心には実は居場所は少なく、外出せずに自宅に引きこもることが多くなり、社会的に孤立しがちです。港区に暮らす73歳の単身者が書いた日記には、スーパーへの買い物、人工透析のためのクリニック以外はほとんど自宅にこもり、TVを見るだけの生活を毎日繰り返していることが書かれています(大都市のひとり暮らし高齢者と社会的孤立より)。

それでもいいじゃないか、ひきこもりで何が悪い!という方は、そのまま都心で無縁社会の一員となるわけです。これもひとつの選択肢です。

75歳~アガリまでは、こちら→「これからどうなる?一生独身者の住宅選び 2


【関連記事】
・ シングルの新住宅双六(前編)
・ シングルの新住宅双六(中編)
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