前回の「シングルの新住宅双六(前編)」、「シングルの新住宅双六(中編)」では、なぜ生涯未婚比率が高まるのか、その背景をみてきましたが、今回はいよいよ、人口減少時代における、現在30代の単身者の新たな住宅双六を見ていきましょう。

35歳フリダシ~65歳定年
数回の転職のたびに、勤務先に近い賃貸住宅へ転居する  

シングルの生活の中心は仕事になりがちです。したがって住まいの選択は仕事のしやすさが最優先されます。前述のように、終身雇用はすでに崩壊しているわけですから、定年を迎える60~65歳までには数回の転職の可能性があり、極めて変化の激しい暮らしが待ち受けているのです。

それに伴い、この先数回の転居も待っているわけです。ひとり暮らしの良さは、身軽さや自由さにあります。仕事が変わり新たな勤務先に近いところへ気軽に移り住むには、持ち家より賃貸がはるかに適しています。もちろん、自宅を人に貸して、自分は新たに賃貸住宅を借りる選択肢もありますが、ゆくゆく、自宅近辺に仕事を得ることができるかどうかは、分かりません。

35歳以降の転職の多くは収入が下がることはあっても、上がることは極めて少なくなります。そうした場合、高い年収時に住宅ローンを組んでマンションを買った後に、収入が減っても、月々決まった額を払い続けなければなりません。賃貸であれば減った収入にあわせてより安い家賃のところへ移り住むことで、家計の破綻を防ぐことができます。家余りによる家賃の下落という恩典を得ることもできるのです。

このように30代の一般的な単身者にとって、定年までの25~30年という長く、しかも変動の激しい人生を送るなかで、たとえ、家賃並みの返済で最終的には自分のものになるからというセールストークに乗って、高額の借金をして住宅を買うことには高いリスクが伴い、あまりお勧めできません。毎月2万円程度の管理費や固定資産税などが加われば、家賃を上回る住居費が固定費となって毎月出ていくのですから。リストラの心配が少ない職業についていて、高年収でしかもすでに多額の貯蓄を持っており、いつの時代でもいくら高くても住みたいという需要のある好立地の住宅が、無理せず買えるという、少数の単身者を除いては。

そういうわけで、35歳のフリダシから定年にいたるまで、転職をするたびに、勤務先に近いところで、その時々の収入に見合った賃貸住宅に住み替える、というのが安心・安全な展開だと考えます。住まいは暮らしの器です。安心・安全は器としての絶対条件です。

50歳になったら常に前倒しで10年先のことを考えるようにしましょう。詳しくは、次のページで。