35歳~75歳までは、こちら→「これからどうなる?一生独身者の住宅選び 1」
75歳~85歳 「都心に住み続ける」「トカイナカに住み続ける」「地方に住む続ける」「高齢者専用住宅に転居」など選択肢は多様
30代~40代でマンションを買った単身女性の多くは「老後の安心のため」という理由をあげますが、本当にマンションを持てば老後は安心なのでしょうか。人によって老化のスピードは異なりますが、多くは75歳を過ぎると、健康状態に自信がなくなり、ひとり暮らしが不安になってきます。介護までは必要なくても、食事などのサービスをしてくれる高齢者向け住宅に入居したほうが安心だと考える人が増えてきます。結婚していて支えてくれる伴侶がいたり、世話をしてくれる子どもがいれば、購入したマンションにそのまま住み続けることもできますが、生涯未婚の単身者には、そうしたことは期待できません。したがって、買ったマンションを売るなり貸すなりして、高齢者専用住宅へ転居することになってしまうのです。しかもこの時点で買ったマンションが築40年を超えていたとしたら、売却価格はかったときより6割から7割程度安くなっているでしょう。人生の終わりに近づいたときに、住み続けられなくなり転居することが分かっていたとしたら、最後は賃貸で終わるとしたら、はたして高額の借金をしてまで、わざわざ家を持つ意味が本当にあるのか、と今一度問い直す必要があると、私は思うのです。
多様化する高齢化向け住宅は、自分の目でみて確かめてから選ぶ
さて、ひとくちに、高齢者向けの住宅に転居、といっても選択肢は多様です。長くなってしまうので、ここで、ひとつずつ詳しく説明することはできませんが、分譲タイプのシルバーマンションから生活相談、24時間見守り、食事サービスなどの付いた生活サービス付きの高齢者専用賃貸住宅まで多様な選択肢があります。それぞれに一長一短ありますので、実際に自分の目で確かめて選ぶ必要があります。いざとなったときに、すぐに入居できるとは限りませんので、60歳代くらいから10年前倒しで、情報収集したり、周囲の評判に耳をかたむけたり、見学会に参加するなどして、元気なうちから一人暮らしに不安を覚えるときのために、いざとなったら、ここに転居するという目星をつけておくことをお勧めします。
ちなみに多くの高齢者専用住宅は60歳から入居できますが、本格的な介護が必要になると、24時間対応の介護サービスの提供がないため、住み続けることが困難になってしまいます。
そこで、どうせ、高齢者専用住宅が終の住み家にならないのであれば、都心の賃貸マンションやトカイナカ、地方の賃貸住宅に住み続けながら、身体の調子が悪いときには、買い物を手伝ってもらうなど、ご近所の方に手助けをしてもらったり、介護ステーションの食事や清掃、入浴などのサポートを受けられるようにしておく、という選択肢も十分にあります。
70歳を過ぎると、若いときとは異なり、新しい環境に順応することが難しくなるので、住む地域を変更することは極力避け、慣れ親しんだところに住み続けたいという願望が強くなります。そのためには、ご近所づきあいや地域の介護ステーションなどとの接触を60歳代から意識的に始めておくことで、自分を守る手段を徐々につくっておくことが大切です。
次のページでは、85~終末(アガリ)を見ていきましょう。