助けの手が必要となったときの、単身者の選択肢は

助けの手が必要となった時、都心の賃貸マンションや高齢者専用住宅、トカイナカや地方の賃貸一戸建てに移住して暮らす単身者は、次にどのような選択肢があるのでしょうか。

第一に挙げられるのは24時間介護サービスが受けられる介護施設です。これから東京圏や関西、名古屋圏などの大都市は、急激な単身高齢化の進展に見舞われます。80歳以上の単身高齢化のスピードが一番早いのは、男女ともに埼玉県、2番目は千葉県です。そのため、高齢者を受け入れる介護施設が圧倒的に不足します。

東京圏の高齢単身世帯は2010年では約127万世帯ですが、2030年には約211万世帯にまで増加します。一方、現在でも高齢者向けの住宅は全高齢者に対して、4.4パーセントしかなく、圧倒的に不足しているのが実態です。

にもかかわらず、東京都の都区部では地価が高いために介護施設の建設が不足しています。そのため埼玉県や千葉県、栃木県などの近隣県の施設へ東京都の高齢者の入所を要請しているのが現状です。この先埼玉県や千葉県でも高齢化が加速するため、県民の入所を優先させると、東京都の高齢者は更に遠隔地の施設へ転居せざるを得なくなるのです。

ここまで都心の賃貸マンションに住み続けてきた人も、85歳前後で自立できなくなれば、否応なく住んだことのない地方の介護施設へ転居せざるを得なくなる可能性があるのです。住みなれた都心の高齢者専用賃貸住宅に住んでいた方も同様です。

逆に、高齢化では先をいく、地方都市ではここしばらくのうちに高齢化率はピークを迎えます。人口減は相変わらず続くので、ピーク時に多数建設された高齢者施設や介護サービスステーションは、現在30代の方々が老後を迎えるときには、余裕が出てきます。地方に転居し賃貸住宅に暮らしてきた方は、80歳代になって介護施設に入所するのであれば、大都市よりも安心できる暮らしが待っているといえるでしょう。

どうしても住みなれた都心の施設で、ということになると、賃料、食費、介護負担金を併せると月額40万円もかかってしまうことを覚悟しなければなりません。と現状の延長線で予想される暗い未来ばかりを述べてきましたが、私は幾分楽観的な見解を持っています。家余りにより、人気ブランド地域を除けば都心部の古い集合住宅やビル、廃校など使われなくなった公共施設などが多数発生します。そうした建物をリノベーションして、比較的安い賃料で入居できる老人ホームを手掛ける企業が多数登場する可能性もあるように私は思います。いつの時代も人間の知恵が、ピンチをチャンスに変えてきたのが過去の歴史ですから。

住み慣れたところを離れたくないという選択では

一方、施設に入らず、住みなれた都心の賃貸マンションを離れたくない、トカイナカや地方の住みなれた自宅を離れたくない、だから施設には入らない、という決断をするのであれば、多少行き届かないことを覚悟の上で、在宅介護・医療の巡回サービスを受けながら生きていく道を選ぶことになります。この場合、容態が急変したときに、都合よく誰かがそばに付いていてくれるわけではありませんので、孤独死もあり得ることを覚悟しておかなければならないでしょう。

そして介護施設への入所か自宅で巡回介護・医療サービスを受けるかの選択は、80歳代で認知症が発症したときには、本人には判断がつきません。単身者、はまだ、身体が元気で判断力がある75歳くらいの時点から、10年程度前倒しで、自立した生活ができなくなったときに、どうするかをあらかじめ検討しておくことが必要になるのです。元気なうちから、好き嫌いは別として高齢期の生活防衛のために、積極的に近隣コミュニティに参加しておくことも、また必要なのです。


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