ランチコースから御紹介
パンは吉田パン工房製
それでは、ランチコース(5500円・税込)から御紹介します。
・アミューズ
南瓜のスープ
まずはカップで南瓜のスープが登場です。ほんのりとヴァニラ風味をアクセントに効かせた仕上がりです。
・ウフ・ア・ラ・コック
L'oeuf a la coque
そして、パリの某三ツ星店のスペシャリテとしても有名な「ウフ・ア・ラ・コック(L'oeuf a la coque)」。メープルシロップの甘味とビネガーの酸味、そこに半熟の生温かい黄身の食感が織り成す、複雑だけど優しいテイスト。素材の質・温度・バランスの三位一体が生み出す黄金比率とも言うべき完璧な構成力は新店でも健在です。さすがは名店のDNAを受け継いだ滝本シェフの「ウフ・ア・ラ・コック」だけありますね。ブラボー。
・前菜
スパイシーなカレー風味が良いアクセントに
続く前菜は「帆立貝柱 マドラス・エピス(カレー)風味」が登場。帆立と、その下に敷かれた茄子のピュレ、さらに帆立の上には色違いのパプリカの刻みが乗せられており、見た目も美麗なる一皿です。魚介×野菜という基本の組み合わせにもシェフの個性が光る味わいでした。
・野菜
30種類の地野菜たち
ここでシェフのもう一つのスペシャリテ「les legumes」。30種類の地野菜の周りには根セロリやニンジン等の色鮮やかなパステルカラーのムース、そしてトップにはホウレン草の泡。まるで京の野菜畑を皿の上に具現化したような一皿です。
この構成力も見事ですが、シェフ自らが睡眠時間を削ってまで、早朝から大原の契約農家さんまで出向いて仕入れられる地野菜たちは、さすがにどれも新鮮で高品質! こういうシェフの弛まぬ地道な毎日の努力と情熱があるからこそ、この一皿がスペシャリテとなりうるクオリティを維持できるのでしょうね。
それに30種類という地野菜の種類が多彩なのも嬉しいですが、それに加えてシェフの熟練した経験とテクニックが、京都のテロワールと野菜の持ち味を絶妙な火入れで醸し出しているので、噛みしめる度に瑞々しい野菜の旨味が舌の上で心地良く拡がっていくのです。
次ページでは、コース料理後半を御紹介です。