マンション購入術/マンション情報収集術

不動産の儲けの仕組みを知る9.販売価格の法則(後編)(3ページ目)

シリーズ不動産会社の儲けの仕組みを知る」9回目は、「住戸価格の法則(後編)」をお届けします。前・中編で、マンション住戸の値付けの法則を見てきましたが、それを踏まえて、今回は自分にあった住戸をどう絞り込んでいけばよいかをご説明します。

大久保 恭子

執筆者:大久保 恭子

これからの家族と住まいガイド

同じ条件であれば狭い住戸のほうが広い住戸より販売単価が高い

同じ向き、同じ階数の広い住戸と狭い住戸の販売単価を比較してみましょう。多くの場合、広い住戸のほうが販売単価は低く設定されていることが分ります。

これは広ければ広いほど価格が高くなり売れ行きが悪くなるために、単純に単価×広さ=価格とはせず、敢えて単価を低く設定し価格を抑えようとするからです。半面、低く抑えた単価の差額は狭い住戸に上乗せすることで、総販売額(売上)は減らさないような価格設定にするというわけです。

予算との兼ね合いではありますが、同じ条件であれば、より広い住戸を選んだほうが割安感はあるといえるでしょう。

中古売り出し時には新築の法則は反映されない

また、これまでご説明してきた価格設定の法則は、あくまでも新築マンションの販売時に限ってのことです。築5年、10年と経年変化とともに、中古マンションとして一部の住戸が売り出される際には、この法則は成り立ちません。その時点での中古相場や周辺の取引事例に基づき売却価格の大筋が決まります。その上で向き、階数、位置、付加価値、共用施設との位置関係の+-評価が微修正されるというわけです。

したがって、新築時に3階と最上階で100万円の価格差があったとしても、中古時にはそうした価格差は反映されません。新築時に真ん中階の真ん中住戸のように平均的な評価を受けた住戸や、北向き・低層階といった低い評価の住戸が、中古として売り出された場合、新築時の評価よりもその時の相場によっては高く評価されることもある、というわけです。

こうしたことまで考慮にいれると、まずは、予算の範囲内で、家族にふさわしい広さと部屋数の住戸を基本的な居住性を重視して、向き・階数・位置を優先させた住戸選びに徹するのが、一番賢明なことだといえるでしょう。


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