アルコール0.00%への挑戦「キリン フリー」
ノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリン フリー」開発の責任者佐藤章さん
「キリン フリー」という商品開発プロジェクトで、人や組織の観点を中心にお話を伺えればと思っています。まず、こういったものを作ろうというプロジェクトがスタートしたのはどれくらい前で何人くらいの所帯でしたか?
佐藤さん:
当時のトップからですね、「おいしいノンアルコールビールを作ってくれよ」ってぼそっと言われたのです。今から4年前かな。2007年ですね。当時のビールテイスト飲料市場は、ほとんど伸びておらず横ばいで、年間250万ケースくらいでした。
当時、ビールテイスト飲料でハイネケンの「バクラー」というのがそこそこ評判が高かったですね。レストランでそれこそビールがわりに飲まれていて、アルコールが0.5%くらい。ただ、キリンとしてはアルコール0.00%に寄せてかなきゃいけないと、ずっと頭の片隅にあったわけです。
プロジェクトにしたのが、その翌年2008年。2007年から起案を始めて、プロジェクトを起こして丸2年。僕が当時商品開発所長をやっていたものですから、メンバーに「やるぞ」と言って、その1人に梶原がいたということです。
アルコール0.00%は社会的活動へ
佐藤さん:はじめは、日本の素晴らしさってなんだろうと考えた。日本人の作るものはモノがいいだけじゃない。美味しいだけじゃなく、それにプラスしたものを生み出すのも得意だぞということを商品を通じて表現したかった。それでstudyしながらアルコールが全く入っていない商品で、「飲酒運転をなくそう」ということにつながっていく。
ガイド:
最終的にCSRといいますか、飲酒運転撲滅キャンペーンみたいな商品そのものに社会性を訴求していく。キャンペーンの仕方はどのようになさっていたのでしょうか?
佐藤さん:
「キリン フリー」の開発がだんだん0.00%に近付いていくと、会社側も事業・商品を通じたCSRを具体化したいということになり、このなかで「飲酒運転をなくす」というコンセプトに固まっていきました。
ガイド:
結果的に、商品を作ることがCSRにつながっていった。
佐藤さん:
やっぱり僕はゴルフが好きだったもんですから、絶対ゴルフが終わった後にビール味を楽しみたい。「ビール味」がキーワードなんですよ。「ビール」じゃなくて「ビール味」。それが楽しめるものにしなければいけない、という話になって。あのビール味があると、ゴルフ場でつまみも頼みたくなる。そうすると、ゴルフ場さんもお客さまの注文が増えていいんじゃないと言う。そういう楽しい話を練っていましたね。