リフォームやルームクリーニングをする
何らかのリフォームが契約条件になっている場合には引越し後にそれを実施するほか、壁紙の剥がれが目立つ場合や家具の撤去後に傷が見つかった場合など、必要に応じてリフォームや補修をします。ただし、買主が自ら全面的なリフォームを計画しているような場合には、剥がれや傷が新たに見つかっても何ら問題がないこともあります。相手側の意向も確認しておくようにしましょう。
また、買主へ引き渡すことになっている設備に故障があった場合の修理なども、必要に応じて実施します。契約条件にはなくても、引越し後にルームクリーニングを行なったほうがよいケースもあります。それが必要かどうかは媒介をする不動産業者に確認をしてください。
評価証明書を取得する
所有権の移転登記に要する登録免許税などの費用はたいてい買主が負担するものの、その税額を算出するためには土地と建物の評価証明書が必要です。この評価証明書はそれぞれの市町村(東京23区は都税事務所)で取得しますが、売主自身が手続きをする場合と、売主からの委任状に基づいて不動産業者が手続きをする場合があります。その費用は売主または不動産業者が負担します。
物件状態の最終確認をする
物件引き渡し後のトラブルを避けるためには、引越しが終わってから残金決済日までの間に、売主と買主が双方立ち会いのうえで、家の内外の確認をしたほうがベターです。媒介をする不動産業者から依頼があったときには、日程の調整に応じるようにしてください。残金決済と物件の引き渡し
買主の先行入居、あるいは売主の引き渡し猶予の特約をした場合を除き、残金決済と物件の引き渡しは同時に行なうことが原則です。たいていは平日の午前中からお昼頃までの間に、買主が住宅ローンの融資を受ける銀行などで1時間から1時間半ほどかけて各種の手続きをします。買主は住宅ローンの融資を受け、自己資金分がある場合はそれを加えて売主へ残代金を支払います。売主は従前の住宅ローンが残っていれば、受け取った残代金の中から返済をします。
これらの残代金のやり取りの大半は、銀行側による振り込み、もしくは預手(よて=預金小切手のこと)によって行なわれますから、仮に残代金が5,000万円だとしてもそれだけの現金を目にすることはほとんどありません。
現金で用意されるのは、各種の清算に使われるお金と媒介手数料分のお金、それにとくに売主が希望した場合の数百万円分といったところでしょう。
ちなみに、買主が支払う残代金を「預手がいくらといくらの○枚、振り込みがいくら、現金がいくら」のように分けることを「金種割り」または「金種分け」などともいいますが、これは事前の売主側における確認に基づいて、買主側へ依頼をするものです。
売主が借りていた従前の住宅ローンを振り込みによって返済したとき、その着金確認が先方の金融機関でとれるまで少し時間がかかる場合もあるでしょう。
先方の着金が確認されれば抵当権の抹消登記を申請するために必要な書類を受け取ることができますが、これは不動産業者の事前の段取りによって、売主側の金融機関から買主側の金融機関に回されているものです。
決済の場には司法書士が立ち会い、売主から買主への所有権移転登記、買主の住宅ローンに対する抵当権の設定登記、売主の従前の住宅ローンに対する抵当権の抹消登記などに必要な書類について遺漏がないかどうかのチェックを決済と並行して行なっています。
司法書士に対しては売主と買主の双方が委任状を発行し、登記関連の手続きをすべて代行してもらうことになります。ちなみに司法書士は当日の朝、登記内容が知らないうちに変更されていないことを確認したうえで決済の場所に来ているはずです。
また、固定資産税や都市計画税の日割り清算、借地権であれば地代の日割り清算、マンションであれば管理費や修繕積立金の日割り清算なども、この決済のときに行なわれます。
一連の段取りが済めば、家の鍵を買主に渡すことによって引き渡しが完了します。土地の場合には鍵がありませんから、「引き渡し確認書」への双方の署名押印で引き渡しが終わったものとみなされます。
〔決済のときに必要な書類など〕(一部の書類は事前に司法書士へ渡す場合もあります)
- 権利証(登記済証)または登記識別情報
- 実印
- 印鑑証明書
- 住民票(必要に応じて住民票の除票、戸籍の附票)
- 固定資産税および都市計画税の納税通知書と領収証
- 評価証明書(土地および建物)
- 家の鍵一式
- マンションの場合の管理規約、パンフレットなど
- 各種の取扱説明書
書類などの準備にあたっては、事前の不動産業者からの指示に従ってください。
売主の瑕疵担保責任と危険負担
買主から売買代金の全額を受け取り、買主への引き渡しが完了したときでも、それですべてが終わりというわけではありません。買主へ引き渡してから隠れた瑕疵(欠陥)などが見つかれば、その責任を負わなければならない場合もあります。中古住宅の場合に個人の売主が瑕疵担保責任を負う期間は、たいてい引き渡しから1か月~3か月程度が契約によって定められています。
家が古い場合などには売買契約時に「売主は瑕疵担保責任を負わない」という特約がされる場合もありますが、それでも売主が知っていながら告げなかった事実があれば、責任を逃れることはできません。
売主が知っていたのかそれとも知らなかったのかは、第三者が客観的に判断することは容易ではなく、買主からすれば「知っていたはずだ」と考えるのが当然です。そのため、瑕疵担保責任期間がどうであれ、いざ問題が起きれば長い間にわたってもめ続けることも多いでしょう。
また、危険負担についても注意しなければなりません。
売却した家の引き渡し前に、隣家からの類焼などで燃えてしまったり地震の被害にあったり、あるいはその他の原因で家が壊れたりしたときに、その出来事の責任が売主にはなくても、買主に対しては売主が責任を負うというのが「危険負担」です。
通常は決済日(引き渡し日)の前日まで、売主がこの責任を負うことになっています(契約書の取り決めによります)。
しっかりとした媒介業者であれば、決済当日の朝に物件の現地へ行って異常や異変がないことを確認します。
売主としても可能であれば当日の朝に現地を確認し、「少なくとも自分が責任を負うべき前日の時点までは異常がなかったはずだ」と主張できる材料を作っておけば、いざというときに役立ちます。もっとも、それが実際に役立つケースは極めて稀でしょうが……。
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