一戸建ての売却/一戸建ての売却に関する法制度・税制

住宅の売却における所得税の基本ポイント

住宅を売却したときに課税される所得税については、いろいろと難しい規定も少なくありません。ここでは売却する前にぜひ知っておきたい基本的なポイントをまとめてみました。(2018年改訂版、初出:2003年8月)

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.64】

住宅の購入や所有、売却にあたりさまざまな名目で税金が課せられることは、≪不動産にかかる税金の種類≫ で説明しましたが、数多い規定のなかでもとくに分かりにくいのが、売却にかかる所得税です。

今回は住宅を売却(税金の規定では譲渡という用語が使われます)したときの所得税について、その基本的な考えかた、ポイントをみていくことにしましょう。なお、住宅売却時の税金について詳しくは ≪マイホームを売却したときの税金の基礎知識≫ をご覧ください。


住宅の譲渡は分離課税になる

税金の計算には、他の給与所得や事業所得と合算して税額を計算する「総合課税」と、特定の所得だけで計算する「分離課税」があります。住宅(不動産)の譲渡所得は基本的に「分離課税」の対象として取り扱われます。


長期譲渡所得、短期譲渡所得とは?

譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年未満の場合には短期譲渡所得となり、それぞれ課税方法(税率など)が異なります。譲渡した日において満5年を過ぎていたかどうかではないことに注意しなければなりません。


「取得の日」と「譲渡の日」の取り扱い

所有期間を計算する際の「取得の日」と「譲渡の日」は、売買契約を締結した日、引き渡しを受けた日、引き渡した日のいずれかをそれぞれ選択することができます。

たとえば、2012年12月に購入の契約をして2013年2月に引き渡しを受けた住宅を、2017年11月に売却の契約をして2018年1月に引き渡したとしましょう。

この場合、契約~契約、引き渡し~引き渡しではいずれも5年未満ですが、取得の日を2012年12月(契約日)、譲渡の日を2018年1月(引き渡し日)とすれば、5年超の長期譲渡所得にすることができます。

ただし、購入の契約をしたときに建築工事中(または未着工)だった場合には、取得の日を契約日にできないなど細かな規定もありますから、ぎりぎりの期間のときにはあらかじめ税理士に確認するなど、慎重に対処してください。

なお、その住宅を贈与相続などで取得した場合には、原則としてその贈与者、被相続人(亡くなった人)が取得した日を引き継ぐことになります。


譲渡所得金額とは?

たとえば4,000万円で購入した住宅をそのまま4,000万円で売却すれば、普通は利益がないように感じられるでしょう。しかし、実際はそうならないのが税金の難しいところです。購入価格を土地代金と建物代金に分けたうえで、建物については減価償却をしなければなりません。

4,000万円のうち建物代金が2,000万円だとすれば、10年間所有して売却した場合の償却費相当額は約560万円(木造住宅の場合)となり、この分が利益として扱われます。

この額から購入時の費用(税金や手数料など)や売却時の費用を差し引いて、残りがプラスであればそのぶんが「譲渡所得金額」として課税の対象になるわけです。


居住用財産を譲渡した場合には特例がある

自分が住んでいた住宅(マイホーム)を譲渡した場合には、「3,000万円の特別控除」「買換えの特例」あるいは損失が生じた場合の「損益通算・繰越控除の特例」など、さまざまな特例があります。これらの特例の内容についてはそれぞれの記事をご参照ください。


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マイホームを売却したときの所得税と住民税

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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