一戸建ての売却/一戸建ての売却の基礎知識

家の売却~家を売るときに必要な費用と税金

家を売却するときにはさまざまな費用がかかります。利益が生じれば税金の支払いが必要になることもあります。費用や税金のことをあらかじめしっかり考えておかないと、売ったあとで「こんなはずじゃなかった」などということにもなりかねません。(2017年改訂版、初出:2010年12月)

執筆者:平野 雅之


家を売却するとき、あなたは代金を受け取る立場ですが、そのためにはいろいろな費用が必要となり、さらに利益が生じれば税金を納めなければなりません。

通常の売買で必ずかかる費用は買主に比べれば少ないものの、物件次第で(あるいは契約条件によって)かかる費用は多額になりがちで、その後の計画が大きく変わることもあるでしょう。

どのような費用が必要になるのかを事前によく見極め、税金のことについてもしっかりと調べておくことが大切です。


不動産業者への媒介手数料は必須

お金

手数料に見合うように、不動産業者にはしっかりと働いてもらおう

家や土地の売買契約が成立したことに対する成功報酬として、売却を依頼した不動産業者には媒介手数料(仲介手数料・媒介報酬)を支払わなければなりません。

このときに、手数料の上限額は「売買価格の3.24%+64,800円」(消費税率が8%の場合)で計算されます。

なお、媒介手数料の支払いは売買契約締結時に半金、決済時に残りの半金となるケースが多いでしょう。

参照 ≪不動産会社へ支払う仲介手数料の基礎知識

ただし、買主の購入希望価格(指し値)と売主の最低売却希望価格の折り合いがつかず、その差が比較的小さいときには、不動産業者側が媒介手数料を引き下げることによって契約をまとめるケースもあります。

また、不動産業者が直接(媒介業者が介在せずに)あなたの家を買い取る場合には、媒介手数料を支払う必要がありません。


登記費用は状況次第

買主に対する所有権移転登記の費用は、特別な事情がないかぎり買主が負担しますので、売主がその費用について考える必要はありません。

しかし、それ以外に登記が必要なケースでは、登記に要する費用(登録免許税および司法書士報酬、必要書類の取得費用など)を売主が負担することになります。

売主が登記費用を負担するものとして、次のような例が挙げられます。

□ 登記名義人と実際の権利者が異なる場合(持分が異なる場合を含む)
□ 相続登記が終わっていない場合
□ 増築の登記が終わっていない場合
□ 住所の変更登記(通常は決済時に手続きをする)
抵当権の抹消登記(従前の住宅ローンに関する抵当権の抹消)


契約条件に応じてかかる費用は多額になりがち

買主からの提示条件次第で必要になる費用は、数万円で済むものから数百万円かかるものまでさまざまです。

提示条件のなかには事前に予測することが難しく、短期間で受け入れの可否を検討しなければならないものもあるでしょう。契約条件の交渉のなかで、費用を売主と買主が折半することにして話をまとめる場合も考えられます。

有利な売却条件を引き出すことを目的として、家を売り出す前に売主自らが実施するものもあるでしょう。

費用負担が必要なものとして、次のような例が挙げられます。

更地渡しの場合の古家解体取り壊し費用、廃棄物処理費用、整地費用
□ 耐震診断費用
□ 耐震診断の結果による耐震補強工事費用
耐震基準適合証明書取得費用(10~15万円程度)
□ アスベスト調査費用
□ 地盤調査費用
実測売買もしくは測量が条件の場合の測量費用、隣地へのハンコ代
境界標識の設置費用(敷地境界が曖昧な場合など)
□ 室内のリフォーム費用

また、買主から提示された条件ではなくても、スムーズな引き渡しのために必要となる費用もあります。

□ 買主へ引き渡す設備の修理、補修、交換費用
□ 室内のクリーニング費用
□ 隣地などとのトラブル解決のために要する費用

さらに、売却前に建物検査(インスペクション)を受けるケースや、万一の事態に備えて「既存住宅売買瑕疵保険」に加入するケースも年々増えつつあります。

これらの費用を誰が負担するのかといった決まりはないものの、保険加入に伴う諸手続きの費用も含めて売主が負担することも少なくありません。


忘れちゃいけない引越し費用

賃貸物件に暮らしていた頃とは違い、家を買ってしばらく住んでいれば身の回りの荷物もかなり多くなるため、家を売って引越すときにかかる費用もそれなりに高くなりがちです。

また、引越しに合わせて不用品を処分する場合も、その数量が多くなれば手間と費用がだいぶかかるでしょう。

売り先行の場合などで一時的な仮住まいが必要なときは、それを借りるための費用のほか、2度の引越しにかかる費用をみておかなければなりません。


その他の費用

売買契約書にはその記載金額に応じた額面の収入印紙を貼付しますが、契約書を2通作成し、売主と買主がそれぞれ同額の印紙代を負担することが一般的です。

参照 ≪住宅購入時の印紙税について知っておこう

また、売却する家とその敷地の評価証明書を取得する際にかかる費用は不動産業者が負担する場合と売主が負担する場合があるものの、印鑑証明書や住民票(状況によってはさらに住民票除票戸籍の附票)を取得する際の費用は売主負担となることが大半です。

さらに、決済時には従前の住宅ローンの残高をまとめて返済(一括繰上げ返済)することになりますが、その際には指定口座への振込み手数料のほか、金融機関によっては繰上げ返済手数料も必要です。

一方で、固定資産税都市計画税、マンションの管理費修繕積立金などの日割りによる清算金は買主から売主へ支払われます。

通常はそれを受け取るだけですが、決済のタイミングや双方の事情によっては売主から買主へ日割り分を支払い、買主から自治体への納税などをしてもらうケースもあります。

参照 ≪住宅購入時における固定資産税等の清算


家を売却するときには、税金についてもしっかりと把握しておくことが大切です。次のページで主なポイントを確認しておきましょう。


家を売却したときの税金のポイント…次ページへ

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