個人が土地や建物を売却して得た利益は、譲渡所得として所得税(国税)と住民税(地方税)が課税されます。それでは、納めなければならない税金はいったいどのくらいなのでしょうか?

これから住宅を購入する立場の人にはあまり関係がないように感じられるかもしれませんが、買主が支払った売買代金のなかに多額の税金が含まれるケースもあります。基本的な知識としてぜひ知っておくようにしましょう。


税率は所有期間によって異なる

マイホームにかぎらず、土地(借地権を含む)と建物の譲渡所得に対する税金は、所有期間の長短によって変わります。譲渡した年の1月1日時点における所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」とし、5年以下の場合は「短期譲渡所得」として、それぞれ税額の計算をします。

たとえば2018年中に譲渡をする場合には、2012年12月31日以前に取得した土地や建物であれば長期譲渡に該当し、2013年1月1日以降に取得した土地や建物であれば短期譲渡だということになります。

なお、所有期間の考え方について詳しくは ≪マイホームを売却したときの税金の基礎知識≫ をご参照ください。


課税の対象となる譲渡所得

緑に覆われた一戸建て住宅

短期所有の場合だけでなく、古くから所有する家の売却も要注意!

個人の土地や建物の譲渡による所得は、他の所得(給与所得や事業所得など)と分離して、一定の税率による課税(分離課税)がなされます。

もちろん、売却などによる譲渡所得(利益)が生じなければ、長期譲渡でも短期譲渡でも税金が課せられることはありません。

しかし、≪マイホームを売却したときの税金の基礎知識≫ でも説明したとおり、たとえば4,000万円で購入したマイホームを同額の4,000万円で売却しても「利益あり」とされるケースがありますから注意しなければなりません。

ただし、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」が適用できる場合には、3,000万円を控除した残りの譲渡所得が課税対象です。

大半のマイホームの譲渡では「3,000万円の特別控除」が適用できますから、3,000万円を超える譲渡所得がないかぎり、譲渡所得税と住民税のことはあまり考える必要がありません。

万一、「3,000万円の特別控除」の適用要件から外れてしまった場合には、頭を抱えたまましばらく寝込むこともあるでしょう。

なお、「3,000万円の特別控除」以外にもいくつかの特別控除があり、重複して要件に該当する場合には5,000万円を限度として適用することができます。

公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
2009年及び2010年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例

しかし、いずれにしてもマイホームではない土地や建物を譲渡する場合や、古くから所有する土地や建物を譲渡して多額の利益が生じる場合などには、事前にしっかりと税金のシミュレーションをしておくことが欠かせません。

また、3,000万円を超える譲渡所得があり「居住用財産の買換えの特例」を適用する場合で、売却代金のすべてを買換えに充てずに一部を残したようなときには、その買換えに充てなかった分に対して課税され、下で説明する軽減税率の特例は適用できないことになっています。


短期譲渡(所有期間5年以下)の場合の税率

以前は複雑な計算をしないと判定できない短期譲渡所得の税金でしたが、2004年度の税制改正により一気に簡素化されるとともに、最低でも52%だった税率が大幅に引き下げられました。現在の税率は次のようになっています。

課税短期譲渡所得金額×39% (所得税30%+住民税9%)

住民税9%の内訳は、道府県民税3.6%、市町村民税5.4%となっています。ちなみに2004年1月1日から2006年12月31日までは道府県民税3%、市町村民税6%(東京都を除く)でした。

なお、次に該当する短期譲渡の場合には、軽減税率(所得税15%+住民税5%=20%)が適用されることになっています。これらの場合には、最寄りの税務署などで確認してください。

国や地方公共団体などへの譲渡
独立行政法人都市再生機構などへの譲渡で一定の要件に当てはまるもの
収用交換などによる譲渡


長期譲渡(所有期間5年超)の場合の税率

長期譲渡所得に対する税率も2004年度の税制改正により、従来の26%から次のように引き下げられました。なお、これに伴い「100万円の特別控除」は廃止されています。

課税長期譲渡所得金額×20% (所得税15%+住民税5%)

住民税5%の内訳は、道府県民税2%、市町村民税3%となっています。こちらも2004年1月1日から2006年12月31日までは配分が異なり、道府県民税1.6%、市町村民税3.4%(東京都を除く)となっていました。


居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例(所有期間10年超)

譲渡した土地や建物がマイホーム(居住用財産)であり、居住用家屋と敷地(借地権を含む)の所有期間が、譲渡した年の1月1日時点においていずれも10年を超えている場合には、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」による控除をしたうえで、控除しきれなかった譲渡所得には次の軽減税率が適用されます。

なお、この軽減税率特例と「居住用財産の買換えの特例」を同時に適用することはできません。

課税長期譲渡所得金額(3,000万円控除適用後の金額)
6,000万円以下の部分   14%(所得税10%+住民税4%)
6,000万円超の部分  20%(所得税15%+住民税5%)

以前住んでいた居住用家屋とその敷地を譲渡する場合には、住まなくなってから3年が経過する年の12月31日までに譲渡することが必要です。

また、配偶者や直系血族、同居する親族、生計を一にする親族、内縁関係者およびその親族、特殊な関係のある法人など、特別な関係者に対する譲渡は適用対象外となります。

譲渡した年の前年または前々年に(他のマイホームの譲渡で)この特例を適用していないことも要件です。なお、居住期間の通算年数や継続居住などの要件はありません。


優良住宅地等のための譲渡の特例

マイホーム(居住用財産)の譲渡ではなくても、(1987年10月1日から)2019年12月31日までに長期譲渡(所有期間5年超)に該当する土地や建物を譲渡し、かつ、その相手先や目的などが一定の要件に該当する場合には、課税長期譲渡所得のうち2,000万円以下の部分に対する税率が14%(所得税10%+住民税4%)に軽減されます。

ただし、前記の「居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」とは異なり、他の特別控除の特例や課税の特例と重複して適用することはできないので注意が必要です。

対象となるのは、優良建築物の建築事業、公共施設整備を伴う宅地造成事業、開発許可を受けて行なう住宅地造成事業、優良宅地認定を受けて行なう住宅地造成事業などですが、毎年度の税制改正に伴う要件変更などもありますから、内容については事前の確認が欠かせません。

また、この特例を適用する場合には財務省令に定める証明が必要となるほか、譲渡の相手先だけではなく、その相手側による利用目的や事業面積なども要件となります。

実際に軽減税率が適用されるかどうかは、譲渡の相手先に「その土地の取得目的と事業内容」などを確認したうえで、最寄りの税務署もしくは税理士にお尋ねください。


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