マーケティング/マーケティング事例

「ヒートテック」が日本の冬を変えた?(2ページ目)

まだまだ続く寒い冬。たくさん着込んで寒さを凌いでいる人も多いはず。そんな着膨れする人が多い日本の冬を変えた商品がユニクロの「ヒートテック」。今回はこのヒートテックのヒットの秘密に迫ります!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

「フリース」を超えて更に進化し続ける「ヒートテック」

急成長するユニクロのヒートテック
天井知らずの成長を続ける「ヒートテック」。果たして来シーズンはどの程度売り上げるのか?
ユニクロの爆発的なヒットと言えば、元祖は「フリース」。2000年のシーズンではなんと2600万枚を売上げて、フリースブームを作り上げました。単純計算すると日本人の5人に一人がフリースを所有している計算になりますが、「フリース」はこの爆発的なヒットに落とし穴が隠されていました。

国民的なヒットゆえに、街中で同じユニクロのフリースを着ている人に遭遇する確率が高くなり、“ユニばれ”という言葉と共にフリース離れが加速していったのです。

今回の“ヒートテック・フィーバー”は、そのような社会的現象を起こした「フリース」をも凌ぎます。2007年のシーズンには2000万枚の売上を記録すると、2008年には前年から40%も売上をアップし「フリース」を上回る2800万枚を完売します。

2008年9月のリーマンショック以降、世界経済は不況の嵐の中に巻き込まれることになりますが、ユニクロはこの「ヒートテック」を世界戦略の中心的な戦略製品と位置付けることにより、売上を拡大していきます。

昨年9月以降10月に気候の関係で前年比97.5%と落ち込みはしたものの、9月は前年比120.8%、11月は過去最高の売上を達成し前年比132.2%、12月も前年比110.3%と不況下においても驚異的な成長を実現することになります。

ただ、気になるのは「フリース」の時のように、“ユニばれ”現象が巻き起こり、「ヒートテック」離れが起きないかということでしょう。

この点に関しては「フリース」と「ヒートテック」には決定的な違いがあります。

「フリース」は人の目に触れる“アウター”に対して、「ヒートテック」は人の目に触れにくい“インナー”。そして、毎日使用する“インナー”だけに一人で何枚も購入しているということなのです。たとえば、洗濯することを考慮に入れても上下共に4枚購入すれば一人で8枚を所有することになります。

そう考えると、「ヒートテック」は爆発的な売上を記録しているものの、まだまだ市場の拡大余地は大きいと言えます。

着膨れを解消することによって日本の冬をオシャレに変えた「ヒートテック」。今後更なる進化を遂げて、日本の冬にはなくてはならないインナーへと成長していくことが期待されます。


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