初来日、バランタイン17年セミナー
上/バランタイン・マスターブレンダー、サンデイ・ヒスロップ氏 下/通訳をされたサントリー元チーフブレンダー、稲富孝一氏 |
東京、名古屋、大阪、横浜の4都市で、バーテンダーを対象にしたバランタイン17年のセミナーがおこなわれたが、わたしは9月3日の横浜でのセミナーに参加させていただいた。
ヒスロップ氏に関しては昨年6月の記事「体感して欲しい香味・バランタイン21年」で述べているので、そちらをご覧いただきたい。またバランタイン17年は古い記事だが「グレーンはダシ、モルトは味噌」の2ページ目で触れているので参考にしていただきたい。
セミナーはバランタイン17年の香味特長やバランの歴史を語った後、ヒスロップ氏の指導で、参加者にブレンディングを試させるという面白味のある内容だった。
グレンバーギー、ミルトンダフ、他にスペイサイドやアイラモルト、グレーンウイスキーを調合したものが用意され、17年のブレンドに挑戦する。
モルトとグレーンの比率、またグレンバーギーとミルトンダフの配合比が問題で、とくにミルトンダフの効かせ方が重要ではないかとわたしは思ってはみたものの、参加者の皆さんが各テーブルで真剣に挑戦する姿を見つめつづけていた。
変わることのないフレーバー・パッケージ
上/セミナーでの試飲された原酒 下/17年のブレンドに挑戦中の参加者 |
その21年を生んだ彼がヨーロッパでもっとも人気の高い17年の香味を守りつづけている。17年が誕生したのは角瓶と同じ1937年。時の流れの中で閉鎖されるモルト蒸溜所があったり、さまざまな要因でブレンド・スペックは変わっていく。
スペックが異なっても、ボトルの封を切ったときに同じ香りが放たれ、同じ味わいを感じてもらえるように、品質を保ちつづけるのがブレンダーの仕事だ。
日々モルト原酒と向き合い、香味品質をチェックする彼はまだ40歳代半ばくらいだろうか。若くて快活、しなやかさを感じさせる。決して大柄ではないが、器の大きさを感じさせるオーラもある。
ヒスロップ氏のような人物がいる限り、バランタインの香味バランスは崩れることなく、素晴らしいフレーバー・パッケージを世に贈りつづけることだろう。
さて、秋の味覚を17年のオン・ザ・ロックやハイボールで味わい、食後に21年をストレートでゆったりと愉しむ。そんな夜を過ごしていただきたい。
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