文章:山口 由紀(All About「二世帯住宅で暮らす 」旧ガイド)
住宅を計画する際に重要なポイントとなる間取り。その『プランニングの進め方のコツ』第2弾です。先回(Vol.1)、息子夫婦同居・娘夫婦同居によって、間取りへの配慮は異なることについて触れました。そこで今回はこの、『同居相手による違い』に焦点をあててお話したいと思います。具体的に注意しなくてはならないこと、配慮の方向が違うことなど、意外なポイントが見えてきますよ。【関連記事】
二世帯住宅プランニングのコツVol.1
二世帯の交流度が間取りを決める
息子夫婦同居のポイント「オモテ融合・家事分離」
女性が新たに加わる息子夫婦同居は、とくに日中接触の多いふたりの主婦が気がねなく暮らせることが最大のポイントとなります。対外的には同じ名字を継ぐ1つの家としてのまとまりを尊重しながら、女性が主導権を握る家事面での独立を重視しましょう。もともとは他人である2人の主婦が、気がねなく自分のペースで家事ができるように、キッチン・洗濯スペースなど、家事空間は別々に設けた方が良いでしょう。また、子世帯奥さまがくつろいだり友人が訪ねてきたときに、気がねなく過せるスペースの確保も必要です。動線の配慮としては、親世帯スペースを通らずに子世帯スペースへ行ける工夫が必要となってきます。
娘夫婦同居のポイント「オモテ分離・家事融合」
男性が家族に仲間入りする娘夫婦同居は、玄関や応接スペースなど社会と接する場面では子世帯ご主人の独立性を重視し、家の中では母娘が協力して家事ができるようにすると良いでしょう。家に長く居る主婦同士が実の親子であるため、母娘が一緒に昼食をとったり、家事を協力したりするなど、日中の交流が多くなります。家の内部ではふたりの主婦である実の母と娘が、お互いのスペースをラクに行き来できる動線を考えます。一方、子世帯ご主人の立場に配慮が必要です。玄関・接客スペースなど、対外的な独立を尊重しましよう。
気がねNo.1は「浴室」
では、具体的にはどのスペースに気をつければ良いのでしょうか?下のグラフをご覧下さい。「二世帯住宅で共有にした場合、最も気を使うのはどこか?」について調べた結果です。息子夫婦同居・娘夫婦同居どちらの場合も、気をつかう場所のトップは「浴室」となっています。理由としては「夜遅い時間の入浴に気を使う・入浴時間が重なる・好きな時間に入れない」など入浴する際の問題と、「入浴前の準備・浴室掃除などが片方の世帯の負担になる」という家事負担の問題があげられています。
スペースがもったいない、不経済だからなどの理由から、浴室はひとつで良いと考えがちですが、気をつけなくてはなりません。浴室が無理であれば、シャワールームだけでも設置することをおすすめします。これは、同居の形態に関わらず共通の配慮と言えるでしょう。
その他の空間については、息子夫婦同居と娘夫婦同居では、若干順位が異なりますが、玄関・客間・居間・台所などが気を使う場所という傾向が見られます。では、これらのスペースについて、次ページで具体的な注意点についてみていきましょう。
まずは、玄関とアプローチから>>