「サムゲタン風粥」なら丸鶏に具を詰めないので、手軽でカンタン!
第1回は、カラダを温めて滋養強壮にぴったりな「サムゲタン」をテーマに、おうち薬膳のコツをご紹介します!
1、 薬膳のテーマを決める
通常、スーパーで特価のお肉があったから「今晩はすき焼きよ♪」とか、ブリが脂にのってておいしそうだったから刺身にするなど、その日の気分で献立を決めたりしますよね。薬膳の場合、旬の食材を使ってその季節に起こりやすいトラブルに対応したり、その日の体調を重視してメニューをたてます。
たとえば、「最近お疲れ気味。貧血もあるみたいだし。胃腸に優しく、カラダが温まるようなものが食べたい……」このような症状やココロの声を感じたら、次のように整理するのです。
・最近お疲れ気味 ⇒ 体力や気力不足
・貧血もあるみたい ⇒ 血液不足
・胃腸に優しいもの ⇒ 胃腸が弱っている
・カラダを温めたい ⇒ カラダが冷えている
ちなみにその人の体質や症状を証(しょう)、証を判断することを弁証(べんしょう)といいます。この場合、気や血が不足していて、胃腸に悪影響ができたり、カラダを温める機能が低下しているので「気血虚弱」という弁証ができます。
証をたてることは薬膳のきほんですが、証にはいろいろなパターンがあり、みなさんがこれを覚えるのは大変でしょう。なので、最初は「自分は熱がりな体質か、それとも寒がりな体質か」をチェックすることから始めてみてくださいね。
2、 薬膳で使う食材を考え、メニューを決める
「気血虚弱」とは気や血が不足しているわけなので、これらを補う食材を探します。食材は乾物・葉菜類、穀物・豆類や根菜類のページも参考にしてください。■気を補う食材:お米、長いも、かぼちゃ、キャベツ、大豆、しいたけ、鶏肉、玉子、なつめ、栗など
■ 血を補う食材:あさり、イカ、タコ、レバー、黒ごま、なつめ、ほうれん草、クコの実、松の実など
なお、カラダを温める機能が低下しているので、温熱食材をプラスしてみましょう。
■カラダを温める食材:しょうが、ねぎ、しそ、唐辛子、にんにく、コショウ、山椒、シナモンなど
この中で、旬の食材があればそれを使用するといいでしょう。また、漢方薬局に置いているような生薬をいれてももちろん構いません。
生薬になっているものは効能が高い分効き目もシャープになりますが、ここで重要なのが「おいしさ」です。薬効ばかり優先すると、味がそっちのけになりやすいので。
また、高価な食材ばかり使ったり、身近にないものもアウトです。工程が難しかったりするものも、毎日の食事では不向きです。
■薬膳レシピの例
メニュー:サムゲタン風粥(もち米と鶏肉の煮込みスープ)
使用食材:鶏もも肉、もち米、なつめ、にんにく、しょうが、松の実、長ネギ、塩、コショウ、クコの実など
効能として、鶏肉やなつめは胃腸の機能を高め、気のエネルギーや血液を補います。これに温性のもち米、にんにく、しょうが、松の実などが入り、カラダの芯から温めてくれます。最後にいれるネギやコショウも、味のアクセントになるだけでなく、寒さを吹き飛ばしてくれる温熱食材で◎。
ちなみに治療方針をたてることを治法(ちほう)とし、対応する食材を当てはめて、メニューを考えることを施膳(せぜん)といいます。つまり弁証⇒治法⇒施膳の流れですね。