独立した介護室の備え --- 訪問介護バリアの排除
訪問介護のバリアは、ヘルパーさんが訪問して介護をしている時に同居家族の居場所が無いなど、空間的独立性不足が原因となります。そのため、介護に必要なものを、一つのスペースに集めておくことで訪問介護が受けやすい環境にすることができます。■独立した介護室の例 |
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この例では、当初は和室だった部屋に、トイレと洗面所の配管準備をしておくことで、車椅子にも対応できる、洋室と水回り付きの独立した介護室としています。これにより、同居の家族も気を使うことなく、ヘルパーさんによる訪問介護サービスを受けられるようになります。
玄関のバリアフリー化 --- 通所介護バリアの排除
通所介護のバリアは、段差や狭さのために介護される人が外へ出にくいのが一番の原因と言えるでしょう。1階の床の高さから道路までは段差や曲がりがあるのが普通ですし、土ほこりの侵入防止やプライバシー確保のためにもそれらが必要です。ですから家の内部ではバリアフリーが考慮されていても、外に出るとなるとバリアが多い、ということも起こりがちです。玄関の設計において下記のような配慮が必要になります。■玄関のバリアフリー化 |
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新築時は、手摺下地の準備または簡単な手摺のみですが、歩行が困難になった場合は、玄関内部だけでなく玄関ポーチ部分にも手摺を追加し、体を支えられるようにします。そして車椅子になった場合は、携帯スロープの利用などで、玄関框から玄関外の道路まで、つなげられるようにします。このとき、一直線につながるか、曲がり部分の広さが確保できることが重要です。このように、歩行支援と車椅子対応の両方に備えておくことで、介護の状態に応じて適切な対処ができます。
いかがでしょうか。住宅側の配慮で、訪問介護・通所介護サービスがより受けやすくなることが、お解り頂けたかと思います。しかしながら、同居家族が居る場合、家族による介護を期待して介護認定されないケースや、送迎サービスが受けられないケースがあるのも現状です。二世帯同居における介護がスムーズに行われるためにも、住宅側の工夫とあわせ、これからは、同居家族と介護サービスの両立を願う次第です。
「介護経験者の声」については、「同居と介護(1)」にて詳しくご紹介していますので、こちらも併せてご一読下さい。
【参考サイト】
加齢配慮設計・設備システム「AICS」とは?