このテーマでは以前2008年に、「同居と介護(2)~同居介護の家造りポイント」の中で、訪問介護バリアの解消として独立した介護室と水回りの確保、通所介護バリアの解消として玄関内部のバリアフリー化をご紹介しました。また、車椅子移動の考え方は「同居と介護(3)~車椅子対応に備える」で車椅子が曲がる部分の広さを確保することが重要であることに触れ、2009年の「【実験】車椅子で室内を移動してみる」「【実験】車椅子で家と外を行き来してみる」で車椅子での走行実験の結果をご紹介しています。
独立した親世帯ゾーンでの車椅子配慮の課題とは
老後に備えて、の車椅子配慮の場合、基本的には介助者がいることがほとんどだと思います。若年の身障者の場合はどうしたら単独で自立した生活ができるかを考えることが多いのですが、高齢での車椅子の場合は足が弱っていても上体の力は強い、というケースは稀なので、建具を開閉したり、スロープを置いたりといったことは介助者がするものとして想定します。但し介助者が高齢の女性(多くは妻)であるケースが多いので、力が必要なこと、例えば車椅子を持ち上げて運んだりはできないと考えたほうがよいようです。二世帯住宅の中で、親世帯ゾーンは元々寝室とLDK、水回りがあり、上記の訪問介護バリアを解消した家に自然になることが多いでしょう。しかし二世帯住宅はこれまで親世帯単独で住んできた土地に二世帯分の面積の家を建て替えることが多く、どうしても親世帯ゾーンの面積が限られます。従ってバリアフリーをどうしたらコンパクトに実現できるかを考えなければいけません。
例えば親世帯内にトイレを2つ設けることは少なく、寝室から直接入る専用のトイレ(図1)を設置することはできない場合が多いようです。収納スペースをとることが優先となってしまうケースがほとんどではないでしょうか。しかし、コンパクトゆえに水回りを寝室のそばにつくること自体は難しくないと思います。普段から使う水回りでの車椅子対応が第一の課題として挙がります。
【図1】介護対応には寝室に専用のトイレを付属させるのが理想だが、親世帯では日常用との兼用が多い
【図2】施設への通所を考え、玄関アプローチ経由での車椅子のルートを考える