節税対策/法人税の節税対策

決算後の節税(3ページ目)

決算期末を過ぎると、決算対策はできないと思っていませんか。実は、その「決算後」にこそできる節税対策があります。また、決算後には来期に向けての節税対策も行うべきです。今回はそんな節税対策をご紹介したいと思います。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

役員給与の決定は最重要項目

決算月を過ぎると当期決算もさることながら、来期決算に向けての節税対策も始めなければなりません。

まず最初にしなければならないのが、役員給与の設定です。2006(平成18)年度税制改正により定期同額給与が明文化されましたので、期中の役員給与の増減は原則できなくなりました。増減すること自体は可能なのですが、その場合役員給与のうち“定期同額”とはならない部分については、税金を計算する上で原則損金として認められません(一部の例外を除く)。

役員給与の改定をできる時期は年一回、事業年度開始から3ヶ月以内と決められています。例えば3月決算の会社であれば、4~6月までの間に株主総会で支給額を決定しなければなりません。つまり決算後のこの時期にしかできないことなのです。

そして、この役員給与の決定というのはただ単に給与を決めるという意味以外に重要な役割があります。それが節税です。中小企業にとって役員給与は最大の節税策です。役員給与の金額が、節税効果を左右するといっても過言ではありません。節税に関して、1年を通じて最も大事なイベントだと思って下さい。

ではどうやって役員給与の金額を決めればよいでしょうか。それにはまず、今期の利益予想が必要です。それがないことには金額を決めることができません。利益予想ができた段階で、今期の最終利益をいくらに持っていきたいかを考えて下さい。「ちょっと赤字」にしたいのか、それとも「ちょっと黒字」にしたいのか。もちろんそれは節税だけを考えて決めることではありません。金融機関との関係や資金繰りなどを、総合的に考えて決める必要があります。そこが決まれば、必然的に役員給与の金額が決まります。もちろん今期の数字がその通りになる保証はありませんが、そこはある程度割り切って数字を決めて下さい。

ちなみに、役員給与の変更は事業年度開始から3ヶ月以内ですから、事業年度開始月(3月決算法人の場合は4月)から変更することも可能です。ただし、この場合には定時株主総会ではなく臨時株主総会を開催して、役員給与を決定しなければなりませんので注意して下さい。

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