マーケティング/マーケティング事例

激安自販機、缶コーヒー10円のカラクリ(3ページ目)

なんと、缶コーヒーを1本10円で販売している激安自動販売機があります。通常120円以上する缶コーヒーが、なぜ10円で売られているのか? また、10円で販売して利益は出るのか? 激安自販機のカラクリに迫ります!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

売上を最大化させるイールド・マネジメントって何?

イールド・マネジメント
売上を最大化させるイールド・マネジメントは航空業界から始まった!
価格を状況に応じて変更させ売上の最大化を図るイールド・マネジメントは、1970年代に非常に競争の激化したアメリカ航空業界で開発されました。飛行機というのは座席が限られていて、そのフライトで空席のまま出発しても一般の小売業のように在庫として残して次の日販売することができません。売上機会をそれだけ失うことになります。そこで航空会社は過去の需要を分析して、需要が低迷する時期は価格を低く設定して需要を喚起し、需要が高まる時期は価格を高めに設定して1回あたりのフライトの売上を最大化させる方法を開発したのです。このような観点から、イールド・マネジメントにおいては需要の正確な予測が成功の鍵ということができるでしょう。

現在の日本の航空業界を見てみると、全日空の事例では80日程前に予約すれば日本全国片道9000円~17000円で利用できる「超割」や、28日前までに予約すると日にちによっては最大69%割引となる「旅割」、そして便と曜日を選べば事前でも最大55%割引となる「特割」など、様々な価格設定を行って売上を最大化させるイールド・マネジメントを採用しています。

アメリカの航空業界がイールド・マネジメントを開発して収益を拡大することに成功すると、その手法は他の業界でも採用されるようになりました。たとえば、ホテルなどは飛行機と同じで、空室の場合は在庫を持ち越すことができないために、売上機会を失ってしまいます。そこで、過去の需要を分析して、需要が低迷する時期には価格を割り引いて客室の稼働率を高め、需要が高くなる時期には価格を高めに設定するイールド・マネジメントを行っています。

ホテル業界のイールド・マネジメントは、通常の平日など驚くほどの安いプランが提供される反面、ゴールデンウィークなど多くの人が利用する時期は非常に高くなるという、今では私達が半ば常識として受け取っている料金設定にしています。ホテル業界においてもイールド・マネジメントで需要に応じた価格設定を行うことにより、客室の稼働率を上げ売上機会の損失を極力避けて、売上を最大化させることができるのです。

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