起業・会社設立のノウハウ/フリーランスになる

ベストセラーを量産するNPOの仕組みとは

フリーランスに必要な、自己ブランディング。その最も有効な手段が「出版」です。企画案やアイディアはあるけれど…。そこでストップしている方へ、「企画のたまご屋さん」というシステムをご紹介します。

執筆者:塚田 祐子

天才工場代表、出版プロデューサー
吉田浩さんへインタビュー 【前編】
ベストセラーを量産するNPO「企画のたまご屋さん」の仕組みとは?


一昨年の3月、フリーランス・サイトの「あなたの一票」で、「本を出版して印税生活、夢みた事は?」というアンケートを実施しました。その結果、8割近い皆さんが、出版に関心を持っていることが分かり、「売れる本の書き方講座」を6回の連載でお届けしました。

【あなたの一票】本を出版して印税生活、夢みた事は? ※2004年3月実施。
・出版経験有り   14%
・是非実現したい  43%
・あこがれる    33%
・関心はない    10%

あれから2年。見事、出版を実現された方は、どの位いらっしゃるでしょうか。

企画やアイディアは頭の中にあるけれど、そのままペンディング状態。出版業界にコネクションもないし、どこへアプローチしたらよいか、と立ち止まったままの方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、今回は、再度「出版」をテーマに採り上げ、企画と出版社、著者と編集者の橋渡しを行うNPO「企画のたまご屋さんをご紹介します。フリーランスによる、フリーランスのためのNPO法人と呼べる、「企画のたまご屋さん」では、15名の出版プロデューサーが、無名の著者の企画であっても、出版企画へブラッシュアップ、ベストセラーのたまごへ育て上げるサポートを行っています。

このシステムの産みの親は、有限会社天才工場の代表、吉田浩さん。吉田さんは、童話作家でありながら、1,500名のフリーランスのネットワークを構築し、日本一の機動力のある編集プロダクションを作り上げた方です。毎年、ベストセラーを量産する、その仕組みや運営システムを、お伺いしてきました。

<INDEX>
企画のたまご屋さんを、なぜ作ったか
本当に書けるライターが、生き残っていけるシステムを
無名であってもベストセラーは夢じゃない
本を出すために、ハードルが3つある
企画のたまごは、毎朝配信!
ベストセラーを毎年量産できる、その仕組みとは?
著者のリスクはゼロ
出版は、自己ブランディングの入り口
一緒に本を作りましょう!


企画のたまご屋さんを、なぜ作ったか

天才工場代表、吉田浩さん
吉田浩氏/1960年、新潟県生まれ。法政大学文学部日本文学科卒。大学時代から童話を書き始める。童話作家、ルポライターとして活躍後、1999年編集プロダクション「天才工場」を設立。続いて、2004年にNPO法人「企画のたまご屋さん」を立ち上げ、出版業界に、企画と出版社、著者と編集者を繋ぐ仕組みを作り上げる。
企画のたまご屋さん」を作られた切っ掛けは?
「自然発生的に出来上がった天才工場とは全く逆に、意図して作りました。今、大手出版社では、実売印税という話が出てきています。例えば、初版部数が6,000部、定価1,000円の本で印税が10%とすると、ライターさんには原稿料が60万入ってきます。ところが、実売印税だと、売れた数が3,000部だとしたら、30万になってしまいます。本を作るには、最低でも2~3ヶ月はかかります。通常だと3ヶ月で1冊書いて60万。掛け持ちしながら本を書いていけば、ライターはなんとか生活ができます。しかし、実売印税が導入されて、半分しか売れなかったとしたら。2~3ヶ月を30万で暮らせというのは無理な話です。尚且つ、その30万も1年後に入ってくるとしたら、フリーランスのライターは、殆ど生きていけなくなります。これは、大変だと思い、作ったのが企画のたまご屋さんなんです。」

たまご屋さんができる母体となったのが、出版業界で革新的なSOHO型編集プロダクションとして快進撃を続ける天才工場です。この天才工場には、現在1,500名ものフリーランス・クリエイターの方々が登録し、毎年1,000名の方が、本作りのプロジェクトに参加しているそうです。

「企画のたまご屋さん」は、吉田さんが、共に本作りをするフリーランサーの皆さんとの仕事を作るために、発足させたものでした。

本当に書けるライターが、生き残っていけるシステムを

「たまご屋さんは、一言で言うと、企画のオークションです。企画に対して、本にしたいと思う出版社の方から手を上げてもらいます。数社からオファーがあった場合は、ライターが一番条件が良いところを選び、出版します。

普通は、企画書を持って、10社、20社と会社を廻り、売込みに半年から1年かかるところを、ネットで配信するため、数百社の出版社へ一機に送ることができます。早ければ、配信したその日に出版が決まることもあります。企画の内容が良ければ、10社20社からオファーが来ます。

このように、自分が最も出したいと思っている出版社、熱意のある出版社、出版条件のいい出版社から本を出すことができる仕組みが、たまご屋さんです。この方法だと、本当に書けるライターが、生き残っていけます。そして、出版が決まれば、本の制作に関わるクリエイターたちが、生き残っていくことができます。」

2年半前、吉田さんが、フリーランスのために作ったこの仕組みは、現在、その枠を超えて、広く多くの方に利用されています。

無名であっても、ベストセラーは夢じゃない! それには、3つのハードルが…。次ページへ続きます>>
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