マーケティング/マーケティング事例

KYでいこう!西友の挑戦は成功するか?(2ページ目)

未曾有の不況の中で業績向上を目指し西友がKY(価格安い)を掲げて奮闘している。はたして西友のKY戦略は成功するのか?マーケティングの観点から分析する。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

果たして“西友=毎日価格の安い店”のイメージは定着するのか?

西友が目指すEDLP
西友はチラシを配布せずにEDLP(毎日が低価格)のイメージを消費者に植え付けることができるか?
日経新聞が消費者1,000人に最近実施した調査によれば、食品の購入場所としてスーパーが増えたと答えた人は実に29.6%に上った。その理由として『食品の価格が安くなった』が43.3%と圧倒的な割合を占め、以下『食品の品揃えが充実してきた』(28.9%)、『家から近い場所に店ができた』(23.3%)と続く。

マーケティング戦略では、プロダクト戦略、プライス戦略、プロモーション戦略、プライス戦略と俗に言う“4P”が4つの柱となるが、スーパー業界では群を抜いてプライス戦略が重要になることをこのアンケート結果は裏付けている。

つまり、いかに安く商品を提供するかが成功の鍵を握っているということになる。

アメリカでは、ウォルマートがEDLPというプライス戦略を実施して大きな成功を収めた。ただ、このEDLPは日本の消費者になじまず、ウォルマート傘下の西友は辛酸を嘗めることとなった。

そうは言っても、プライス戦略は顧客を呼び込む上で、最も重要な戦略だとすれば、マーケティング戦略の方向性は間違ってはいない。

そこで、EDLPを日本流にアレンジしたのが「KYでいこう!」キャンペーンと言える。利用者は、「他社チラシ照合制度」を活用して、他店のチラシさえ持参すれば地域で最も安い買い物ができることが保障されている。利用者は最安値のスーパーをはしごすることなく、西友一店舗で最も安い買い物ができるというわけだ。

まだまだ、「他社チラシ照合制度」を活用する利用者は少ないかもしれないが、この制度が一般消費者に浸透すれば、他店のチラシが西友のチラシとなり、西友自身がチラシを配布する必要性はなくなる。

そして、消費者の頭の中には、『西友=地域で最も安いスーパー』の連想が出来上がり、これこそ西友が目指したEDLPの実現に繋がっていくことになる。

「KYでいこう!」キャンペーンが開始されて半年。一応の成果が表れている西友だが、日本流のEDLPが日本の消費者の間で根付くのか、これから正念場を迎える。


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