なぜ、施設の名前を売買するのか?
ネーミングライツは売り側にも買う側にもメリットがある。 |
そこには、ネーミングライツを売る側と、買う側の利害関係が絡み合っています。まず、売る側のメリットとして挙げられるのが、施設維持費の負担軽減です。ネーミングライツを販売するのは、その多くが地方自治体の施設ですが、最近では地方自治体の歳入も減少の一途を辿り、ワールドカップなど大きなイベントで建設した施設の維持費を捻出するのも厳しい状況にあります。施設自体は建設費という設備投資に加えて、維持管理を行っていく運転資金も必要になりますが、施設利用料のみで経費を賄うことが難しい状況で、その苦しい台所事業を少しでも軽くするためにネーミングライツが取り入れられたというわけです。
一方で買う側のメリットは宣伝効果にあります。地方公共団体の運営する施設は多くの利用者が見込めるために、施設に企業名や商品名を冠することによって、多くの人に認知の拡大を図ることができます。
加えて『味の素スタジアム』や『京セラドーム大阪』などの大型施設の場合は、毎週プロ野球やJリーグが開催されるために、テレビや新聞などのマスメディアに取り上げられるなど、非常に大きなプロモーション効果が期待できます。
ネーミングライツの落とし穴
このように、売る側、買う側にメリットのあるネーミングライツですが、意外な落とし穴も存在します。2005年3月に楽天ゴールデンイーグルスの発足と共に宮城球場はネーミングライツを販売して、フルキャストスタジアム宮城となりましたが、2007年、フルキャストの不祥事が発覚すると、フルキャストとのネーミングライツは契約解除となりました。そして、次にネーミングライツを購入した日本製紙によって宮城球場は「日本製紙クリネックススタジアム宮城」と改名するのですが、今度は日本製紙による古紙偽装問題が発覚。現在では社名を除いて「クリネックススタジアム宮城」と名前が短期間に二転三転する異常事態となりました。
ネーミングライツは売る側、買う側にメリットをもたらすビジネスですが、このように購入した企業の不祥事が発覚した場合に、名前を冠する施設までブランドイメージが損なうリスクもありますし、利用者にとっても頻繁に名前が変更されると混乱を来す可能性も高くなるという落とし穴も存在します。
今はまだまだ、始まったばかりのネーミングライツビジネスですが、今後これらの落とし穴を克服して、更に拡大が見込める有望なビジネスとなりそうです。
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