マーケティング/マーケティング事例

企業が最低価格保証を提供する真意とは?(2ページ目)

ホテル予約サイトのエクスペディアジャパンがホテルの予約後、同社のサイトより安い価格を見つけた場合は差額を返金するという『最低価格保証』を開始しました。果たしてこの保証はどのような意味を持つのか?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

ビジネスに広がる最低価格保証。その真意とは?

最近では最低価格保証を謳うお店も増えた。
最低価格保証を行う企業は何もエクスペディアジャパンが初めてではありません。最近では家電量販店やホームセンターなどでも『他社よりも1円でも高い場合はご相談下さい。他社と同等以下の価格にて提供致します』というプロモーションを行っています。このような店舗では、お客が他店のチラシなどを持参して、その店より安い価格で商品が提供されていることを証明すれば、同じ金額まで値引きしてもらえるということになります。

なぜ、最低価格保証を行うのか?

それでは、なぜ企業側はこのような最低価格保証を行うのでしょうか?

一つには顧客にその店が同じ商品であれば最も安い価格を提示するというイメージを植え付けるところにあります。差別化された商品を扱っていれば、無理に値引きをする必要がありませんが、どこでも買えるような商品やサービスを扱っている場合は、価格というのは決定的な武器になります。ですから、最低価格保証を宣言することによって、最大の武器となる価格が一番安い店というイメージを消費者の中に植え付けることによって利用を促進することができるのです。

他にも目まぐるしく変わる価格設定に対して、顧客に安心を与える効果もあります。最近では多くの店舗で商品やサービスの販売を促進するために、価格を頻繁に変更することがあります。価格が頻繁に変更されれば、顧客としては最低価格で購入したいと考えるのは当然で、「現状の価格が最低価格なのか?」と悩むことになります。

このような消費に対する迷いが生じている場合は、「もしかしたら今買うと損をするかもしれない」という気持ちが働いて、実際に購入するという行動まで踏み出せなくなってしまいます。そのような迷いを断ち切って、購入を促す仕組みが最低価格保証ということになるのです。顧客側はある程度の期間の最低価格を保証されているのですから、タイミングにこだわることなく、安心して商品やサービスを購入することができます。

このような観点から“最低価格保証”は消費者の購買活動の促進に有効に機能することになるのです。

ただし、商品やサービスというのは仕入れ値があり、いつでも最低価格を保証するということは難しいかもしれません。

自社の属する業界を分析してみて、仕入れ値が比較的業界の中で有利な条件であれば、最低価格を保証することは売上を増やす上で有効なマーケティング戦略と言えるのではないでしょうか。

【関連サイト】

■ エクスペディアジャパンの最低価格保証


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