次世代DVD普及の鍵はいかにキャズム(溝)を乗り越えるか
製品はキャズム(大きな溝)を飛び越えなければ成長しない! |
たとえば、新製品が開発されて市場に投入されたばかりの導入期では真新しい製品に一番に関心を示すイノベーターやオピニオンリーダーといった消費者が主な購入者層になります。このような消費者層は新しい物が大好きで、あまり価格にこだわらない人が多く、少々価格が高くても新製品を購入するという特徴があります。
そして、次第に製品の認知が広まり、消費の拡大と共に製品の価格がこなれてくると次はアーリーマジョリティと呼ばれる大衆層が購入を始めます。この消費者層が動くことによって製品は爆発的に売れ始めて成長期を迎えるというわけです。
それから、ある程度まで消費が行き渡ると製品の成長率は鈍化していくことになります。この成熟期ではレイトマジョリティと呼ばれる大衆層がメインの消費者となって需要を支えていきます。そして製品はこの後衰退期を迎えその寿命を全うしていくことになるのです。
このような製品のライフサイクルを考えた時に、次世代DVDは今将に生まれたばかりの導入期です。そこで今後はアーリーマジョリティに受け入れられて成長期を迎えたいところなのですが、ここで一つの大きな問題があります。
実は製品というのは全てが導入期、成長期、成熟期、衰退期というライフサイクルを全うするわけではなく、導入期と成長期の間に大きな溝が存在し、この大きな溝を越えられた製品だけが健全なライフサイクルを全うできるということなのです。事実、製品がこの大きな溝を越えられずに小さな市場のまま姿を消すということは枚挙に暇がありません。これがアメリカのマーケティング・コンサルタントであるジェフリー・ムーアが唱えたキャズム(大きな溝)理論と呼ばれるものです。
ですから、次世代DVDもこのキャズムを越えられるかどうかが今後の普及の鍵を握っています。そして、今回の低価格製品の投入でアーリーマジョリティの支持を得た陣営のみがキャズムを飛び越えて大きな果実を手にすることができるというわけです。いずれがキャズムを越えるにしろ、新製品の価格戦略にぺネトレーションプライシングが採用されたからには、その結果が出るのもそう遠くない未来と予測することができるでしょう。
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