マーケティング/マーケティング事例

激しさ増す次世代DVD戦争の勝者は?後編

いきなり低価格製品を投入して競争が激化した次世代DVD市場。果たしてこの低価格戦略はどのような意味を持つのか?そして次世代DVD市場に立ちはだかる“大きな溝”とは?マーケティングの観点からその謎に迫ります!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

前編(『激しさ増す次世代DVD戦争の勝者は?前編』)では激しい競争を繰り広げる次世代DVDマーケットにおいてシャープと東芝が思い切った低価格の新製品を投入してきたことをお伝えしました。それではこの戦略的な価格はマーケティング的に一体どのような意味を持つのでしょうか?後編では新製品の価格戦略の意義を見ていくことにしましょう。

新製品の価格戦略:ぺネトレーションプライシング

ぺネトレーションプライシング
ぺネトレーションプライシングは思い切った低価格を設定してマーケットシェアトップを狙う戦略。
通常価格というのはコストや競合との兼ね合い、需要と供給の関係などで決まってきますが、新製品の価格設定というのは、その後の製品の販売動向に多大な影響を与えるという意味からも非常に重要なものと言えます。

それでは、企業はどのようにして新製品の価格を決定しているのでしょうか?

一つには今回の次世代DVD戦争でお伝えしたように通常考えられるよりも低い価格を設定して新製品を市場に投入する価格戦略があります。このような新製品価格戦略はぺネトレーションプライシング、もしくは市場浸透価格戦略と呼ばれています。

ぺネトレーションプライシングの下では、企業は赤字覚悟の低価格を設定し、いち早く市場で高いマーケットシェアを獲得することを目指していきます。当初はたとえ儲からなくても、インパクトのある低価格で消費者を魅了し、販売量を急激に増加させてマーケットシェアNo.1を確保したところで、大量生産によって生産コストを大幅に削減し、収益を拡大するシナリオを描いていくのです。

ですから、このぺネトレーションプライシングは大きな市場が既に存在しているか、もしくは現状は存在しなくても今後市場が拡大することが見込まれる場合、または価格の変化に対して消費者が敏感に感じる場合に有効に機能する戦略と言えます。

今回のシャープや東芝の次世代DVD録画再生低価格機の投入は今後次世代DVD機市場が大きく成長すると睨んで、市場が成熟する前にトップシェアを押さえておこうという、将にぺネトレーションプライシング戦略を実行に移したものと言えるでしょう。

それでは、次ページではもう一つの鍵になる新製品価格戦略について見ていくことにしましょう。果たしてその戦略とはどのようなものなのか?次のページへお進み下さい!
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