マーケティング/マーケティング事例

飲んだらやみつき!炭酸コーヒーって?(2ページ目)

ネスレ日本からコーヒー入り炭酸飲料「スパークリングカフェ」が発売された。同社は清涼飲料の新たなマーケットを開拓を目指すが、果たして消費者は受け入れるのか?マーケティング面から探っていきます。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

プライス-いくらで売るのか?-

ネスカフェ スパークリング・カフェ
コーヒー通に支持されてスパークリン・カフェは新たな市場を切り開くことができるのか?
価格面では280ml缶で120円、300ml缶で140円と通常の清涼飲料と比べて割高になっている。新製品導入時の価格戦略では赤字覚悟で低価格を設定してマーケットシェアを獲得するぺネトレーションプライシングと初めから高い価格を設定して収益を最大化させるスキミングプライシングがあるが、今回ネスレ日本が採用したのはスキミングプライシング。商品自体が万人受けするものではなく、言うなれば一部マニア向けということを考えれば、この価格戦略は妥当と言えるだろう。

プロモーション-どのようにして商品を知ってもらうのか?-

今回の新製品発売にあたりネスレ日本は発売前に記者会見を行い話題を集めた。スパークリング・カフェは多くのマスコミに報道され、パブリシティとしては成功を収めたが、テレビなどを利用したプロモーション活動は現状行っていない。過去にアサヒ飲料は「モーニングショット」を市場に投入した際に、ターゲットである若手ビジネスマンの理想の上司NO.1に輝いた所ジョージ氏をテレビCMに起用したり、朝の出勤時にサンプルを配布したり大々的なプロモーションでヒットを飛ばした。このような成功事例を踏まえ、日頃手にする清涼飲料は認知度が大きな購買要因とすれば、パブリシティに加え、テレビCMなど継続的なプロモーション活動も必要と言えそうだ。

プレイス-どこで売るのか?-

流通に関してはどうだろうか?清涼飲料は飲みたいと思った時に手に入る状況でなければ商機を失うが、このスパークリングカフェは300mlのボトルタイプを大手コンビニエンスストアで、280mlの缶タイプをネスレや発売元である大塚べバレジの自動販売機という流通体制を整えている。このような流通網に加え、今回の新製品はもともとコーヒーの分野で既にブランドを確立しているネスカフェのラインエクステンション(商品ラインナップの増加)に当たるということを考えれば、これまで自社が築いてきた販売網に乗せてネスカフェ商品の隣に陳列し、従来のネスカフェファンを取り込むなどの工夫もできるだろう。

ターゲティング-誰に売るのか?-

ネスレ日本のマーケティング担当者が語っているようにこのコーヒー入り炭酸飲料は万人向けのものではなく一部のコーヒーマニア向けの商品だとすれば、朝の時間に絞って成功したアサヒ飲料の「モーニングショット」のようにターゲットを絞り込む必要があるだろう。たとえば炭酸の刺激とコーヒーの組み合わせは眠気を覚ますのに最適ということであれば、朝や夜の眠気を吹き飛ばしたい人向けなどのセグメンテーションを行い、ターゲットを絞ればある一定のマーケットを確立することも可能になるのではないだろうか。

ある統計によれば大手飲料メーカーが開発しコンビニエンスストアの棚に並べられる商品は1年間で100アイテムに上る。ところが1年経っても棚に残される商品はそのうちの10%、10アイテムでしかない。このような激戦の続く清涼飲料業界で果たしてこのネスレ日本の新たなチャレンジは実を結ぶのかどうか、今後の動向が注目される。


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