マーケティング/マーケティング事例

無料で映画が見放題!Gyaoヒットの秘密(2ページ目)

無料で映画など多くの動画を配信するインターネットテレビ局Gyaoの会員が870万人を突破。Gyaoはなぜヒットしたのか?そして今後のサービスはどうなっていくのか?今回はその裏側に迫って見たいと思います。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド


Gyaoがダントツに会員数を伸ばした秘密とは?

それではどうしてGyaoは他の大手ポータルサイトを押しのけて急激に成長することができたのでしょうか?マーケティングの面から分析していきたいと思います。

圧倒的な動画数、他では見ることのできない動画を提供(Product)
Gyaoの提供する商品は無料動画です。視聴者にとってはいかに魅力的なコンテンツを提供してくれるかどうかがサービス提供業者を選択する基準となります。そのような観点からGyaoとYahoo!の提供する番組数を比較してみました。2006年4月11日現在でGyaoの14チャンネル297番組に対してYahoo!は10チャンネル82番組と圧倒的にGyaoが提供する番組が勝っています。また、Gyaoは既存のコンテンツを提供するだけでなく、独自のクオリティの高い番組を数多く制作し配信するなど、視聴者の細かなニーズに応えるサービスも心掛けています。著作権の問題でインターネット配信が難しいと言われるドラマなどでも自社で新たに制作することにより、問題の回避に努めているのです。

何時間見ても一切お金のかからない価格(Price)

Gyaoはいくら動画を見ても無料!
いくら動画を楽しんでも財布が痛まないのが最大のメリット!
Gyaoではどのジャンルの動画を何時間見ようが課金されることは一切ありません。視聴者は好きな時間に、好きなだけ、好きな動画を見放題なのです。どんなビジネスでもそうですが、特にインターネットでは課金するという考えでビジネスを行うと非常に困難が伴います。インターネットでは無料で何でも手に入ると思う利用者が多く存在するからです。たとえば、2002年に楽天とUSENがオープンした会員制の動画配信サイト『Showtime』は月会費が294円で1万を超える動画を提供していますが2004年段階では会員数30万人弱とGyaoに比べれば会員の獲得に苦戦しています。やはり無料にするか、小額でも課金するかでこのように会員獲得数に大きな開きが出てくるのです。

社長の露出アップで実現する費用のかからないパブリシティ(Promotion)

ライブドアの堀江元社長もそうでしたが、社長や商品が多くのメディアで取り上げられることによって非常に高いプロモーション効果が発揮されるのは周知の事実です。私自身がGyaoを知ったのもフジテレビとライブドアとの問題で既存メディアとインターネットの融合が話題になった時でした。インターネットで多くの映画などが無料で見られるということでGyaoがテレビで取り上げられることによって興味を抱き、サイトにアクセスしたのを覚えています。その後も宇野社長率いるUSENはライブドア株取得などを巡り、時の人となり多数のメディアに取り上げられ、多くの人の目にUSENの行う事業の一つであるGyaoが刷り込まれました。この無料のパブリシティによりGyaoを訪れた人は正確には把握できませんがかなりの数に上ったのではないでしょうか。

会員がいくら多くても無料であれば売上は当然ゼロ。Gyaoのビジネスのからくりはこんな方法だった!次ページをご覧下さい。
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