合意点積み上げ法:交渉がこう着状態の時に使う
合意点積み上げ法というのは、交渉がこう着状態に陥ったり、少し混乱気味になった時に、お互いの合意点とともに相違点を確認するというものです。具体的には、営業マン:「少し話が混乱しているので、ここまでの議論を整理させていただいてよろしいでしょうか」
お客:「ああ、いいですよ」
営業マン:「まずこれから述べる二つの点については、既に双方は合意に達しているということでよろしいでしょうか。一つは○○、もう一つは△△です」
お客:「そうですね。確かにその二つは既に合意に達しています」
営業マン:「では、双方が合意に達するためにもう少し議論を重ねる必要があるのは、□□と××ということでよろしいでしょうか」
お客:「ええ、□□と××については、もう少し話し合う必要があるでしょうね」
営業マン:「わかりました。ではまず□□についてですが~」
とまあ、こんな感じで進めていきます。
このときただ口で言うだけではなくて、ホワイトボードに書き出しながら進めていく方が、合意点と相違点を文字でも確認できるためよりオススメです。ただしお客さんの会社のホワイトボードを使わせていただくわけですから、丁寧にお願いをして相手の許可を得てから使う必要がありますが……。
合意点積み上げ法を用いることのメリット
この合意点積み上げ法を用いることのメリットは、
1)膠着状態に陥ったり、混乱気味になった議論を整理できる。
2)議論の整理を自ら買って出ることで、営業マンが商談の進行役になることができ、その後の議論の主導権を握ることができる。
3)「□□と××について合意に達する」というゴールを設定することで、営業マンとお客さんが一緒に課題を解決していく運命共同体的関係になれる。
といったことが挙げられます。このうち特にメリットが大きいのが2)です。合意点積み上げ法を用いれば、お客さんに対して「議論を整理してあげる」という親切な振る舞いをしながらも、実質的には議論を自分の進めたい方向へと進めていくことができるわけですから。
また3)の効果も見逃せません。交渉事では、下図のように営業マンとお客さんが対決関係になってしまう「対面交渉」は、できる限り避けるべきです。営業マンは「売り込む側」、お客さんは「売り込まれる側」にはっきりと分かれてしまい、お客さんはなんとか売り込まれないようにしようと、必死に抵抗を始めてしまいます。
そうではなくて、お互いに共通のゴールを設定して、営業マンとお客さんがゴールに向かって一緒に議論していくパートナー関係になることが何より大事。そのパートナー関係を築くうえで、合意点積み上げ法が有効なのです。
続いては、「フォーカス誘導法」