営業のノウハウ/営業の商談・ヒアリング

【連載】説得と交渉の営業心理学 第6回 他人の真似をする社会的証明(2ページ目)

数人の友人とともに何も無い空を見上げてみよう。多くの通行人が同じように空を見上げるはずだ。私たちは、他人の行動を参考にして自分の行動を決める傾向がある。その心のカラクリとは・・・

執筆者:鹿俣 之信

社会的証明の原理が作用する条件

「社会的証明の原理」は、ある特定の条件下で最も強く作用する。

条件1 - 「不確かさ」

人は、どう行動すればよいのか確信を持てないときほど、他人の行動を参考にして自分の行動を決めようとする。つまり、状況が明確で判断材料が多い場合よりも、状況が不明確で判断材料が少ない場合のほうが、「社会的証明の原理」が強く作用する。

条件2 - 「類似性」

「社会的証明の原理」は、自分と似ている人の行動を見たときに最も強く作用する。どう振舞うのが適切かを判断するとき、一番参考になるのは自分と共通点がある他人の行動である。私たちは、自分と異なる人よりも、自分と類似した人の行動に影響されやすい。

セールスの現場では

「社会的証明の原理」は、セールスの現場でも応用されている。

例えば、雑誌広告では「人気ランキング第1位」や「市場シェアNo.1」などのキャッチコピーをよく見かける。テレビCMでは、一般の消費者が登場し、その商品がいかに優れているかを証言している。また、トップセールスたちは、商談のときに既存顧客の事例を織り交ぜて話すようにしている。

相手の承諾を得たいとき、社会的証明の原理を応用すると承諾を得やすくなる。方法はいたって簡単だ。他の多くの人々が、あなたの要請に応じたことを証明すればよいのだ。

雑誌広告で人気や実績をアピールするのも、テレビCMで消費者による証言を流すのも、トップセールスが既存顧客の事例を紹介するのも、「他の人はこの商品を選択しましたよ」というメッセージを伝えるために行なわれているのだ。

自分だけで何を買うかを決められる人はあまりいない。ほとんどの人は、他人の行動を参考にして何を買うかを決めるのだ。私たちは顧客に対して「他の多くの顧客もこの商品を購入した」という「社会的証明」を示すことで、承諾を促すことができる。

→ 次は、偽りの社会的証明について

ページ: 1 2 3


【連載】説得と交渉の営業心理学
第1回 二度目は断れない
第2回 拒否させて譲歩する
第3回 一面呈示と両面呈示
第4回 結論を言わない暗示的説得
第5回 手に入りにくいほど欲しくなる
第6回 他人の真似をする社会的証明

この記事を知人に紹介
この記事の内容がお役に立ちましたら、ぜひお知り合いの方にメールでおすすめしてください。
 → いますぐおすすめ
ニュースレターを購読 あなたの一票に投票
新着記事のご案内やショートコラムなどのお役立ち情報をメールでお届けします。もちろん無料です。ぜひご登録ください。 より現実に合った記事をお届けするために、みなさまのご意見をお聞かせください。
 → いますぐ登録  → いますぐ投票
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます