■ 社会的証明の原理が作用する条件
「社会的証明の原理」は、ある特定の条件下で最も強く作用する。
条件1 - 「不確かさ」
人は、どう行動すればよいのか確信を持てないときほど、他人の行動を参考にして自分の行動を決めようとする。つまり、状況が明確で判断材料が多い場合よりも、状況が不明確で判断材料が少ない場合のほうが、「社会的証明の原理」が強く作用する。
条件2 - 「類似性」
「社会的証明の原理」は、自分と似ている人の行動を見たときに最も強く作用する。どう振舞うのが適切かを判断するとき、一番参考になるのは自分と共通点がある他人の行動である。私たちは、自分と異なる人よりも、自分と類似した人の行動に影響されやすい。
■ セールスの現場では
「社会的証明の原理」は、セールスの現場でも応用されている。
例えば、雑誌広告では「人気ランキング第1位」や「市場シェアNo.1」などのキャッチコピーをよく見かける。テレビCMでは、一般の消費者が登場し、その商品がいかに優れているかを証言している。また、トップセールスたちは、商談のときに既存顧客の事例を織り交ぜて話すようにしている。
相手の承諾を得たいとき、社会的証明の原理を応用すると承諾を得やすくなる。方法はいたって簡単だ。他の多くの人々が、あなたの要請に応じたことを証明すればよいのだ。
雑誌広告で人気や実績をアピールするのも、テレビCMで消費者による証言を流すのも、トップセールスが既存顧客の事例を紹介するのも、「他の人はこの商品を選択しましたよ」というメッセージを伝えるために行なわれているのだ。
自分だけで何を買うかを決められる人はあまりいない。ほとんどの人は、他人の行動を参考にして何を買うかを決めるのだ。私たちは顧客に対して「他の多くの顧客もこの商品を購入した」という「社会的証明」を示すことで、承諾を促すことができる。
■ 【連載】説得と交渉の営業心理学 |
第1回 二度目は断れない |
第2回 拒否させて譲歩する |
第3回 一面呈示と両面呈示 |
第4回 結論を言わない暗示的説得 |
第5回 手に入りにくいほど欲しくなる |
第6回 他人の真似をする社会的証明 |
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