お客に手を挙げてもらう仕組みで「本当の見込客」だけを集めることができたら、新規開拓はほぼ成功したといってもいいだろう。あとは、商品に興味のある本当の見込客だけにアプローチすればいい。
相手が商品に興味を持っているお客なら、たいしてセールストークが上手くなくたって、売れるもんである。アポイントを取るのは、以前に比べれば簡単だ。訪問すれば、あなたの話を熱心に聞いてくれる。営業が楽しくなってくる!
● 売り込んでいいお客と売り込んではいけないお客
ただ、一つだけ注意すべきことがある。それは、売り込みの時期である。このお客は、「今買おうとしているお客」なのか「将来買うかもしれないお客」なのかを見極めなければならない。
「今買おうとしているお客」には売り込みをしてよい。お客は情報を必要としているし、営業マンはそれを提供するべきだ。このとき、お客から見ると、営業マンは商品の専門家であり、良きアドバイザーなのである。
逆に「将来買うかもしれないお客」には売り込みをしてはならない。将来買うかもしれないお客は、商品に興味はあるが、今は欲しくないお客である。欲しいという感情が芽生える前に売り込みをすると、お客は「買わされないようにしなきゃ」と抵抗する。このとき、お客から見ると、営業マンは「近寄って欲しくない人」なのである。
あなたにも経験があるのではないだろうか。欲しくもない商品を売り込まれた経験が。そのときのあなたの感情を思い出して欲しい。
● 将来買うかもしれないお客のフォロー
では、将来買うかもしれないお客には、どう対応すればよいだろうか。これには、鉄則が二つある。
一つは、面談を避けるということ。欲しいという感情が芽生える前は、営業マンが会っただけで、売り込みになってしまう。場合にもよるが、面談は避けたほうが良い。欲しいと思っていないお客にとって、営業マンは「招かざる客」だという認識を忘れてはならない。
もう一つは、情報提供に徹するということ。欲しいという感情が芽生える前の売り込みは、お客に警戒心を抱かせるだけなので、商品や商品に関連する情報の提供に徹しよう。「業界ニュース」や「役立つプロの知識」などをまとめたニュースレターを、毎月送るのもいいだろう。もちろんこのニュースレターでも売り込みは一切してはならない。
情報提供を続けていると、いつか購入時期がやってくる。もともと興味があるお客なのだから、あとはタイミングの問題なのだ。購入時期がきたお客には、改めてアプローチする。このときに初めて売り込みをかけるのだ。
購入時期になるまで、情報提供と対話を続け、お客を育てていくのが大切だ。
誰も教えてくれなかった新規開拓シリーズ |
●第1回 顧客の新規開拓ができない |
●第2回 お客に手を挙げてもらう仕組み |
●第3回 売り込んではいけないお客 |