不満の奥にある自分の願いに目を向けよう!
相手を責めるのではなく、自分の願いを伝えよう |
部下に不満を伝えればいいかというと、それでは部下はちゃんと受け取れずに、行動も変わりません。
部下に伝えることは大事ですが、不満のまま伝えるのではなく、相手が受け取りやすい形で伝えることが必要です。そのためには、上司は不満の裏にある自分の願いや思いに意識を向けることが必要です。どんな不満であっても、そこには願いや思いがあるからです。冒頭に挙げた不満を願いに変換してみると……。
「会議でもっと言いたいことを発言してくれないと……」 → 「会議でもっと発言してほしい」
「あいつは最後の詰めが甘いんだよな」 → 「最後の詰めをしっかりしてほしい」
「なんで、いつも遅刻ばっかりするのかな」 → 「遅刻せずに時間を守ってほしい」
「もう3年目なんだから、チームを引っ張ってもらわないと」 → 「もう3年目なので、チームを引っ張ってほしい」
ちょっと言葉を言い換えただけですが、意味が大きく変わります。それは主語の違いです。不満の場合、その主語は相手である”部下”です。「おまえは……」「あなたは……」として、相手を指差して責めています。一方、言い換えた後の主語は”あなた”自身です。「私は……ほしい」というあなたの願いを表現し、相手への責めるトーンはなくなっています。
要望を伝えて部下自身に決めてもらおう!
部下への不満は悪いことではなく、建設的な行動を促す大きなチャンスです。その奥にある願いに目を向けて、部下に伝えていけばいいのです。
伝える際のコツとして、コーチングの「要望のスキル」を参考にしてみてください。コーチングでも、ただ相手の話を聴くだけでなく、コーチから相手に多くの学びを得られるような行動を要望することがあります。そのポイントは以下のとおりです。
● 相手があとで確認できるように具体的かつ測定可能な要望であること
たとえば、「会議でもっと発言してほしい」ではなく、「来週の営業会議で最低5回以上発言してほしい」といった要望です。
● コーチは自分の出した要望にこだわらない
要望は命令ではありません。「絶対、来週の営業会議で最低5回以上発言しなさい」と押し付ければ、部下自身が選んだものにならないので、部下のやる気も起きず、実のあるものになりません。
● 要望に対して3つの答え方(要望を受諾する・要望を拒否する・逆提案をする)があることを伝え、相手に選んでもらう
「自分の出した要望にこだわらない」ための形として、要望をどうするかを相手に決めてもらいます。もし、部下が要望を拒否したとしても慌てる必要はありません。そんな時は単純に、「それでは、何をしますか?」と質問すればいいのです。
「要望のスキル」も参考にして、あなたの部下への不満を要望に変えていきましょう。これであなたも部下も楽になり、さらなる成長の一歩を踏み出すことができるのです。
■『コーチング・バイブル』(ローラ・ウィットワース他著 CTIジャパン訳 東洋経済新報社)
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