コーチング/人材育成・組織作り

部下が自信を持ってくれないんです……(2ページ目)

なかなか自信を持ってくれない部下に悩んでいませんか? 優しく励ましたり、厳しく叱ってもなかなか効果がない……。実はそれはあなたが大事なことを忘れているからです。

宇都出 雅巳

宇都出 雅巳

コーチング・マネジメント ガイド

大学時代から速読教室に通い始め、10を超える速読法を学び、行政書士、宅建、公認会計士試験など、試験勉強で実践研究を重ねる。その中で記憶術も実践。また、20年以上にわたりプロフェッショナル・コーチとして経験を重ねる。その経験に認知科学の知見を加えた独自の学習法・成長法を確立し伝えている。著書は25冊以上。

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「できる」世界をしっかり見てもらおう!

どんな部下にも「できる」世界はある!
先に紹介したのは、「できない」世界にしっかりと向き合ってもらう方法でしたが、逆に「できる」世界に向き合ってもらう方法もあります。

現実に向き合ってもらうという点は同じですが、「できない」世界よりも「できる世界」を見てもらうほうが元気が出やすく、やりやすいかもしれません。

ただし、「難しい」「できません」と言っている部下に対して、「できる」部分に焦点を当ててもらう必要があるので、そのための特別な質問が必要になります。それを一つ紹介しましょう。

「もし、少しでもできているところがあるとしたら何だろう?」

この質問のポイントは、2つ。1つは「もし……としたら?」という仮定の形で質問している点、もう1つは「少しでもできているところ」と敷居を低くしている点です。

単純に「できているところは何ですか?」と質問しても、「難しい」「できません」と繰り返す部下からは、「そんなところありません」と返されるのがオチです。だからこそ、仮定の形と「少しでも」と敷居を低くするという2つの技で答えやすくする必要があるのです。

とはいえ、この質問で尋ねても「できているところなんてありません」と答える部下もいるでしょう。そんなときは、諦めずに「もし、ほんのちょっと、ほんのほんの少しでもあるとしたら?」と質問していけば、何か1つでも具体的なものが出てくるはずです。もし、それでも「できない」ことにこだわるのであれば、最初に挙げた方法に基づいて、「できない」ところを具体的にしてもらいましょう。

現実に向き合えば、部下は自ら答えを見つける

「できる」部分にしろ、「できない」部分にしろ、それを具体的にしっかりと把握すれば、逆の部分、つまり「できない」部分、「できる」部分も明確になってきます。

大事なのは、相手を叱る、ほめるといった形ではなく、どれだけ部下が現実と向き合えるかどうか、です。天狗になって鼻が高くなっているのも、自信をなくして落ち込んでいるのも、しっかりと現実に向き合っていないという点では同じ穴のムジナです。

上司としては、有頂天になっている部下の鼻はへし折りたくなり、落ち込んでいる部下は励ましたくなるかもしれませんが、現実と向き合ってもらうという真の課題を忘れないようにしましょう。

自信を持てない部下にも、自信過剰な部下にも、「できる」部分、「できない」部分の両方が必ずあります。「特に難しいところは?」「できないところを具体的にいうと?」「もし、少しでもできるところがあるとしたら?」(自信過剰の部下には、「もし、少しでもできていないところがあるとしたら?」)と質問していきましょう。

しっかりと現実に向き合ったとき、部下は自ら、自分が次にやるべき行動を見つけます。コーチングの礎の一つである「クライアントはもともと完全な存在であり、自ら答えを見つける力を持っている」を、あなたは実感するでしょう。

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