「できる部下にはコーチング。ダメな部下には指示・命令」。自分の部下を“できる部下”と“ダメな部下”に分けて、対応を変えていませんか? そんなあなたの考え方・行動が、実は“ダメな部下”を創り出しているかもしれません。
《CONTENTS》●ダメな部下にコーチングは使えない?(1P目)●部下は自ら答えを見つける力を持っている(1P目)●上司が“ダメな部下”を創り出している(2P目)●原因を自分に求める勇気から始まる(3P目)●ある高校ラグビー部に起こった奇跡(3P目)●「初めて矢印が自分に向いた」(4P目)●「ダメな部下」という言葉には要注意(4P目)
ダメな部下にコーチングは使えない?
“ダメな部下”として接していませんか? |
「ダメな部下には従来どおりの指示・命令でやるしかない。」
相手に質問をして話を聴き、相手の中にある答えや可能性を引き出していくコーチング。
マネジメントへの導入・活用が進んできていますが、企業の管理職や研修担当者から、冒頭に挙げたような言葉を聞くことがあります。もしかして、この記事を読んでいる多くの方が、「そうだよなあ。」とうなずきながら、読んでいるかもしれません。
あなたはどう思われますか?
「その通りだ!」とうなずいていたあなた。
残念ですが、コーチングについて大きな誤解をしている可能性があります。もし、コーチングの基本を理解していれば、冒頭のようなコメントは出てきません。そもそも、コーチングを理解すれば、「ダメな部下」という言葉自体を使わなくなってきます。
部下は自ら答えを見つける力を持っている?
「クライアントはもともと完全な存在であり、自ら答えを見つける力を持っている」(『コーチング・バイブル』より)表現の違いこそあれ、ほとんどのコーチングの基本となっている考え方です。この考え方は、対象となるクライアント、つまり相手によって変わるものではありません。あなたが相手のことを“できる部下”、もしくは“ダメな部下”と思っているかどうかにかかわらず、コーチングにおいてはだれに対してもこの考え方に基づいてかかわります。
「“ダメな部下”でも、もともと完全な存在であり、自ら答えを見つける力を持っている」のです。
とはいえ、「あの部下は例外だよ。あいつには可能性などないし、答えを見つける力もないよ」なんていう声もまだ聞こえてきそうですね。
ここで、その部下が“できる部下”なのか? “ダメな部下”なのか? 議論しようとはもちろん思っていません。コーチングではそもそも、部下のことを“できる”“ダメ”と判断・分類している上司の考え方に焦点を当てていきます。
実は、「あの部下はダメだ」と考える上司の考え方・行動こそが、目の前の“ダメな部下”を創り出しているかもしれないんです。
上司が“ダメな部下”を創り出すメカニズムとは? 次ページ>>