「初めて矢印が自分に向いた」

山口監督のように部下を信じられますか?
そのときのことを山口監督はこう語っています。

「この情けない子どもたちは今、どんな気持ちなんだろう? 目茶苦茶やられて悔しいやろなあ、辛いやろなあ、情けない思いをしているやろなあ、と思った時に、俺は今までこいつらに何をしてやったんや?と、初めて矢印が自分に向いた。

「俺は何にもやってやってない。偉そうにばっかり言って。俺は全日本の選手やったんや、俺は監督だ。俺は教師だ。その自分に気づいたときに、ほんとにすまん、と思って。」

『プロジェクトX 挑戦者たち Vol.12 ツッパリ生徒と泣き虫先生』より)


試合の結果は112対0.記録的な大敗でした。しかし、この試合の後、山口監督の気持ちの変化に部員たちは心を開き、一致団結して「打倒・花園」を合言葉に猛練習を重ねるようになっていったのです。

そして、1年後の昭和51年6月に奇跡は起こりました。伏見工高ラグビー部は、1年前に112対0で負けた花園高校と京都府大会の決勝戦において戦い、18対12で勝利を収めたのです。さらに、伏見工高はこの5年後の昭和56年には高校ラグビー日本一に輝き、その後も2度の日本一になるなど、今ではラグビーの強豪としてその名は全国に知られるようになっています。

「ダメな部下」という言葉には要注意

あなたは山口監督のように、「自分に矢印が向いていますか?」

人間はついつい知らず知らずの目の前の人を分類し、“レッテル貼り”をしようとします。「あいつは○○○な人間、こいつは△△△な人間」。そうやって分類し、相手のことを“わかったつもり”になります。

確かにこれは効率的で楽です。しかし、そこで多くのものを見失っていきます。いったんレッテルを貼った途端、そのレッテルにそぐわないことが目に入らなくなってきます。分類することで、相手をあなたが思っているような人間に創り出している可能性さえあるのです。

“ダメな部下”なんていう言葉をあなたが使っているとしたら、それは危険信号です。そんなときには、自分にこう問いかけてみてください。

「もし、自分が目の前の“ダメな部下”を創り出しているとしたら?」

そこから、大きな変化が起きてきます。

【参考資料】
■『よい上司ほど部下をダメにする』(ジャン=フランソワ・マンゾーニ、ジャン=ルイ・バルスー著, 平野 誠一訳 講談社)
■『プロジェクトX 挑戦者たち Vol.12 ツッパリ生徒と泣き虫先生』(NHKソフトウエア)

【関連サイト】
■「部下の目標を明確にし、やる気にする」

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