緩めては締め、締めては緩めを繰り返す
会議進行者は会議の場を読み、ロゴスの場・カオスの場という二つの場をうまく使いこなしていくことで、会議の議論を常に活性化しながら、正しく、かつ豊かなものにすることが可能になります。場を使いこなす第一のポイントは、「緩めすぎず、締めすぎず」です。
例えば、さまざまな意見がどんどんと出て、カオスになりすぎたときには、論理的思考を促すような質問・「なぜそう思うのですか?」「それを行う上での課題は何?」などを投げかけると場は引き締まります。
逆に、論理にとらわれて議論が硬直化しているときには、創造的思考を促すような質問・「他にはどんなことが考えられるだろう?」「何でも可能だとしたら何をやってみたい?」などを出すことで場は柔らかくなってきます。
この二つの場の繰り返しのプロセスの中で、以下のようにさまざまなアイデアや気づきが得られると松林さんは言います。
全体が同じモードで議論することが効果的
場を使いこなす第二のポイントは、「参加者全員が同じモードで議論する」ことです。なぜなら、参加者の半分が拡散モード・創造的思考で議論し、残り半分が収束モード・論理的思考で議論していたら、お互いに力を打ち消しあってしまうからです。
「そんなにアイデアを広げたら、収拾が付かなくなるよ」
「まだ議論をまとめるには早い。他にもアイデアがある」
このように批判し合っていれば、議論は停滞してしまいます。こうならないように、会議進行者は、今はどちらの場の意識で議論するのかを、参加者に確認・合意して、できるだけ全員が同じモードで議論するように促すのです。そして、モードを切り替えていくのです。
「そろそろ、拡散モードで行こうか?」
「今は拡散モードでカオスの場だから、とにかくアイデア出そうよ」
「だんだんと収束モードに入ってきたようだけど、ロゴスの場に行っていいかな?」
収束モード・論理的思考のロゴスの場、拡散モード・創造的思考のカオスの場。この二つの場を使いこなすことが、会議の成功のポイントです。まずは、どちらの場にいるのか、「場を読む」ことから始め、二つのポイントを押さえてマネジメントしていきましょう。
【参考雑誌・書籍】
■『Think! Winter 2004 No.8』(東洋経済新報社)
■『あたりまえだけどなかなかできない 会議のルール』(宇都出雅巳著 明日香出版社)
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