今回は少し専門的な話になりますが、登記上の土地の地番と建物の所在地番が一致しないケースについてのご質問をいただきました。
(神奈川県横浜市青葉区 佐々木さん 40代 男性)
建物を新築してその登記をするとき、まず「表題部」が作製されますが、その中の「所在」欄には敷地の地番が記載されます。
たとえば、敷地の地番が「23番11」だとすれば、建物の所在は○○町○丁目などの表示に続けて「23番地11」のように記載されるのです。また、その「家屋番号」も敷地の地番を用いて「23番11」のようになります。
登記上の建物所在と実際の敷地地番とが一致しないケースも、決して珍しいことではない
よくありがちなのは、建築当初には敷地の権利が借地権だったような場合です。
借地権の場合には、もともと広い敷地を登記上では分けない(分筆しない)まま、地主が私的に区分けして個々の借地人に敷地を貸し付けることも多いのですが、後にこの敷地の底地権(借地権に対する地主の敷地権利)を借地人に売却することもあります。
あるいは地主が死亡したときに、相続税支払いの代わりに底地が国へ物納されたり、さらに借地人がその敷地の払下げを受けたりするケースもあるでしょう。
いずれにしても、このようなときは実際の借地区画に合わせて敷地が分筆されることになり、分筆後の敷地にはそれぞれ新たな地番が付されます。
新しい敷地地番に合わせて建物の所在表示も直されれば問題はないのですが、現実にはこれが直されないままのことが少なくありません。
そうするとご質問でいただいた事例のような、敷地の地番と建物所在の登記上の不一致が生じてしまうわけです。
分筆によって新たな地番が付された場合には、それまで使われていた旧地番がどこかの土地に残ります。もともとの大きな敷地が私道を含んだ土地であれば、私道部分の地番として残っているケースが多いでしょう。
登記された建物の所在地番が私道部分の地番だったからといって、私道のうえに建物が建っているわけではありませんし、「間違って登記された」ということでもありません。
また、分筆とは逆に、複数の敷地にまたがって建物が建築されていた場合で、その敷地を合筆したときも同様に、敷地の地番と建物所在の不一致が生じるケースも考えられます。
売主が複数の土地・建物を所有していると面倒なケースもあり得る
しかし、売主が近隣で複数の敷地、複数の建物を所有しているような場合には、十分に注意しなければなりません。
敷地と建物の組み合わせが適切かどうか、権利証で確認したり、法務局に備えられている「建物図面」で建物の配置を調べたり、あるいは過去の登記簿を遡って調べたり、建築当時の各種書面を調べたりなど、さまざまな確認作業が必要になってきます。
これらの裏付け調査をユーザー自身で行なうのは難しいことですから、媒介業者などが調査した内容について、きちんと説明を受けるようにしてください。
説明内容に疑念が残るようでしたら、何をもとに説明しているのか、その根拠を明示させることも必要です。
なお、このようなケースに遭遇したときには、売買がちょうどよい機会ですから、「建物表題変更登記」により登記を一致させておくことも検討するようにしましょう。
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