4,000万円で買って4,000万円で売ったら利益あり!?

マンション

価格に占める建物の割合が大きいほど不利になる?

譲渡
所得の計算は売却価額から購入価額などを差し引いて計算しますが、ここで気をつけなければならないのは、建物について減価償却をすることです。

たとえば4,000万円で購入した住宅のうち、土地代金が2,000万円で、建物代金が同じく2,000万円だったとしましょう。

この建物の減価償却分が500万円だとすれば、取得費として差し引くことができるのは3,500万円(土地分2,000万円、建物分1,500万円)であり、購入したときと同額の4,000万円で売却した場合でも、500万円が利益として扱われることになります。

ただし、実際には取得費や譲渡費用としてさまざまな経費を差し引くことができるため、それほど単純な計算にはなりません。取得費や譲渡費用については後ほど説明します。

さて、一般の方にはあまり馴染みがない「減価償却費」ですが、次の計算式によって求めることができます。

〔自己の居住用建物の場合〕
減価償却費=取得価額×0.9×償却率×経過年数

この場合の償却率とは、法定耐用年数の1.5倍の年数に対応する定額法の償却率であり、住宅用途の木造建物は0.031、住宅用途の鉄筋コンクリート造および鉄骨鉄筋コンクリート造の建物は0.015となっています。

先の例で、購入したときに2,000万円だった木造建物を10年後に売却する場合の減価償却費を計算してみましょう。

減価償却費=2,000万円×0.9×0.031×10年=558万円

したがって、この例では2,000万円で購入した建物分の取得費として控除できるのは、1,442万円ということになるわけです。なお、経過年数に端数がある場合に、6か月以上は切上げ、6か月未満は切捨てることになっています。

土地の減価償却は当然ながらありません。また、業務用の建物や、住宅を貸付けたときなどの減価償却方法とは異なりますので、自己の居住用財産以外の建物や兼用住宅などを売却した場合には、それぞれ税理士の先生などにご確認ください。


建物の取得価額をどう求める?

建物の減価償却費を計算しなければならないことは分かっても、そのもとになる建物の取得価額が分からなければ困るでしょう。この取得価額の求め方は一律ではなく、いくつかの方法が認められています。

消費税から逆算する方法

不動産業者など消費税の課税業者が売主だった場合の売買契約書、あるいは建物の建築請負契約書には、原則として消費税額等(消費税および地方消費税の合計額)が明記されています。

このとき〔消費税額等×1.08/0.08〕が建物の取得価額(建物本体価額+消費税額等)です。

なお、1997年4月1日から2014年3月31日までの取得であれば1.05と0.05、1989年4月1日から1997年3月31日までの取得であれば1.03と0.03を当てはめて計算します。消費税率の再引き上げ後は、1.10と0.10です。

もちろん、契約書などに建物本体価額も明記されていれば〔建物本体価額+消費税額等〕をそのまま建物の取得価額とすればよいことになります。

建物の標準的な建築価額表による方法

売買契約書に消費税額等が明記されていない場合には、「建築統計年報」(国土交通省)の「構造別:建築物の数、床面積の合計、工事費予定額」表による1平方メートルあたりの工事費予定額を用いて建物の取得価額を求めることができます。このとき、建物代金を先に求めて残りを土地代金とするため、「土地残余法」ともいわれます。

この価額表では、木造・木骨モルタル造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の構造ごとに、1959年(昭和34年)以降毎年異なる単価が表示されており、たとえば木造の場合、1959年が1平方メートルあたり8,700円、1980年が同92,500円、1996年が同161,000円、2003年が同152,700円、2009年が同156,600円などとなっています。

ちなみに、この価額表は原則として譲渡所得の計算をするときだけに使用されるものであり、他の税目などには適用されません。

取得時点で新築された建物の場合には、その構造と建築年に対応する単価を調べて延床面積(マンションの場合には専有面積)を掛ければ建物の取得価額を求められます。

また、売却した建物がその購入時点で中古建物だった場合には、〔単価×延床面積×償却率(前記と同じ)×建築されてから購入までの経過年数〕により取得価額を計算します。

その他の方法

取得時点における土地の公示価格など、客観的な裏づけがある数字を用いて先に土地代金を算出して残りを建物代金とする方法(建物残余法)や、取得時における土地・家屋の固定資産税評価額の比率に基づいて価額を按分する方法なども認められるようです。

いずれにしても、税務署に対して価額算出の根拠を説明できることが重要であり、(チェックされるかどうかは別として)「思いつきで数字を作りました」では通用しませんが、方法の違いによって建物取得価額に相当の差異が生じても、そのまま認められる場合が多いようです。

概算取得費による方法

取得時期が古く、その取得費(土地代金を含む)が不明の場合は、譲渡価額(売却価額)の5%を取得費として控除することができます。このときは建物の減価償却費を計算しなくてもよいため、建物の取得価額を求める必要もありません。

また、他の計算方法による取得費よりも概算取得費のほうが有利な場合にもこれを適用することができます。ただし、この方法では(取得費と譲渡費用の控除前で)譲渡価額の95%が利益として扱われるため、こちらのほうが有利だというケースは稀でしょう。


取得費として控除できる経費

実際に譲渡所得を計算するときには、譲渡価額から譲渡に要した費用と、その資産を取得したときに支払った費用を差し引きます。

購入により土地・建物を取得した場合には、取得費として控除できる経費は意外と多いので、将来に売却する可能性を考えれば、住宅購入のときから各種の領収書や支出の記録をきちんと残しておきたいものです。

取得費になるものの例(購入により取得した場合)

土地の購入代金
建物の購入代金または建築代金(前記の減価償却をした後の価額)
購入時に媒介業者へ支払った媒介手数料
購入時の売買契約書に貼付した印紙
購入時の登記費用(登録免許税および司法書士報酬など)
不動産取得税
購入と同時に行なった増改築費用
土地とともに取得した建物の取り壊し費用(当初より建替え目的で取得した場合)
購入のために行なった測量費用(買主が負担した場合)
整地、土盛りなどの費用
擁壁工事費用、下水道工事費用
購入に合わせて支払った立退き料、移転料など(賃借人占有者がいる物件を取得して立ち退かせた場合)
土地を先行取得して建物を新築した場合における、借入金利息(入居日以前に負担したものにかぎる)
当初より土地だけを利用する目的で、古家付土地などを購入した場合の建物代金およびその取り壊し費用(土地の取得費に合算する)
その他、購入のために直接要した費用(各種調査費や交通費なども含む)

なお、上記のなかには業務用不動産の譲渡の場合には取得費として認められないものがいくつか含まれています。


譲渡費用として控除できる経費

取得費と同様に、譲渡に際して支払った費用も必要経費として控除することができます。

譲渡費用になるものの例(売却により譲渡した場合)

売却時に媒介業者へ支払った媒介手数料
売却時の売買契約書に貼付した印紙代
売却のために行なった測量費用(売主が負担した場合)
売却のために行なった建物の補修やリフォーム費用(通常の維持管理、補修などのために要した費用は含まない)
土地として売却するために建物を取り壊した場合における、その建物の取得費と取り壊し費用、整地費用
売却のために賃借人を立退かせた場合の立退き料(敷金返還分などは含まない)
売却のために不動産鑑定士などに鑑定を依頼した場合の鑑定料
売却のために行なった各種の調査費用(アスベスト調査、耐震診断、その他)
買主との交渉や契約のために要した交通費や通信費など
いったん売買契約を締結したものの、さらに有利な条件で購入する買主が現れたために、前の契約を解除した場合における違約金や、手付倍返しにより支払った費用
その他、売却のために直接要した費用


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