・揚物 塩は先振りされています。 ここで意外にも「揚物」が供されます。「筍」「タラの芽」「ふきのとう」「独活」等、春を衣の中に閉じ込めたような一皿。春らしい爽やかな「苦味」がたまりません。 ・蛤のスープ 端正な見た目。 夜のコースは「小鍋」ですが、昼は「スープ」仕立て。香りを封じるために、まずは奉書紙で蓋を配しての登場です。 香りもご馳走。 もちろん、このスープも単なる蛤の出汁ではなく、軽く白濁した出汁の中には、蛤の旨味エキス以外にも、白菜や人参、セロリ等の野菜の旨味エキスも加味されていて、とても上品で繊細な味わいのスープとなっているのです。シンプルでありながら深い、という創意工夫の賜物。これぞ一流のセンスとテクニックでしょう。 次ページでは、御飯や水菓子などを御紹介します前のページへ1234次のページへ