京都らしさに溢れる正統派割烹

外観2。 よきかな。
「善哉」と書いて「よきかな」と読みます。 長いアプローチの先に入口があります。
「丸・竹・夷・二・押・御池……」と続くのは、ご存じ都を東西に走る通りを覚えるための、京のわらべ歌。「丸」太町通から2筋南の「夷」川通は、家具屋さんの集まる通りとして有名ですが、観光客でごった返すことはまずありません。今を遡ること1年半前、南北に走る室町通を夷川通から少し上がったところの露地奥に、隠れ家的な正統派割烹が人知れず誕生しました。

その名は「京夕け 善哉(よきかな)」。「善哉」と書いて「よきかな」と読みます。職人気質でコツコツと地道に丁寧な仕事をしてこられた結果、じわじわと評判を高めつつある実力派割烹です。ご主人の笹井喜晃さんは、祇園の名料亭「鳥居本」で長く修行され、その後は長岡京や京都市内の名店で腕を揮われた後、生まれてから小学6年生までを過ごされた、この界隈にあった町屋で独立を果たされたというわけです。

外観。
京建築らしい奥に長いアプローチ。
室町通沿いの屋根付き門から続く細い路地は、そこを歩いているだけで、京風情がたっぷりと感じられるアプローチ。玄関に入ると、小さいながらも割烹というより料亭の風格。隅々にまで意匠を凝らした造作が、明るい照明に映えて、華やぎと清潔感に溢れた内装となっています。

坪庭。
ライトアップされた坪庭もあります。
案内された2人用の堀炬燵式小部屋は、坪庭に面していて、ほどよい狭さが何ともほっこりとした空間となっています。他に6席の朱色も鮮やかな塗りのカウンターと、最大16名まで使える奥の座敷があり、様々な使いかたができるように工夫されています。
サービスは一緒に鳥居本で働いておられた時に知り合われた美人奥様が担当。お着物姿も板に付いておられ、気さくな中にも老舗料亭仕込みのサービスはさすがです。

酒を誘う料理達

さてメニューですが、今回は夜コース5,250円の「雪哉」を御紹介します。

・八寸
八寸。
晩秋の八寸
まず初皿として供されたのは、「鴨ロース」、「柿の白和え」、「鯛の龍皮巻」、「ムカゴの雲丹掛け」、「バイ貝」、「菊菜と茸のお浸し」、の6種盛り八寸。鴨ロースは中にセロリ入りだったり、鯛の龍皮巻は蕪を一緒に巻いてあったり等、上質な味わいだけではなく、凝った手の込みようも素晴らしかったですね。

また、下に敷かれた大きな柿の葉が、何とも晩秋感をアップ。見た目にも美しい演出は、京料理ならでは。


・椀物
椀物。
松茸と甘鯛の椀物 みぞれ仕立て
椀種は「甘鯛(ぐじ)」と「松茸」。それに「蕪」をみぞれ仕立てにしてあります。口に入れた瞬間に、ほろりと崩れそうになる程、とろけるような食感の甘鯛は、今までに食べたことのないほどの旨味を兼ね備えた特筆クラスの仕上がり。そこに、噛みしめると溢れ出す松茸エキス、「みぞれ」部分の蕪の青々しい甘味と、さらりとした滑らか食感。さらに柚子薫も合わさり、まさに口福の極みといえる味わい。

次ページでは、コース後半の料理達を御紹介します