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しっとりと季節を主張する坪庭。 |
今回に御紹介するのは、玄関を上がって右手すぐにある坪庭を右に折れ、そこを進んだ先にある「富士の間」です。
この富士の間は、本館の裏手の一番広い庭に面するお部屋で、俵屋の部屋の中でも特に古くから存在し、蛤御門の変(元治元年1864年)で消失した後に再建された、当時の書院造りの風情をそこここに残している歴史深い一室。
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富士の間の内装。 |
床に掛けられたお軸は何と室町時代の足利義政の御用絵師による山水図! 部屋は昼でもほの暗く、夜ともなれば、月明かりと蝋燭しかなかった時代の旅人の周りに漂っていたであろう空気を感じずにはいられません。
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機能美の映える座椅子が心地良い。 |
座敷に座り、俵屋特製の蕨餅を頂きながら、部屋と一体になったかのような庭を眺めていると「華美」の対極にある「understated elegance」が、自然と心を落ち着かせてくれます。
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ライブラリー「アーネスト・スタディ」。 |
さて、前置きが長くなりましたが、お茶室で若奥さんからお薄を一服頂戴したり、李朝の家具の置かれたライブラリーで、手に入り難い古書に目を通したりして、ゆったりと過ごした後、いよいよ夕食の登場です。