40分かけてジックリと焼かれた鮎
・焼物
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志野の陶板の上に「簗(やな)」を置き、その上に「鮎」を盛ってあります。 |
そして、今回のコースの中でもっとも心に残ったのが、この「鮎の塩焼き」! 生きた鮎を、なんと40分もかけて遠火を駆使しながら、じっくりと焼き込んであるため、頭の先から、内臓に尻尾まで、満遍なくムラのない火入れが施されているのです。
ですので、骨ごと食べられるのはもちろん、凝縮感すら感じられる鮎本来の旨味(本質)が、味覚・嗅覚・視覚(盛り付け)で感じ取れ、今までに食べたことがないような新食感の逸品に仕上がっているというわけです。
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この躍動感溢れる盛り付けも素晴らしい。 |
一口目は、油で揚げたようなパリッサクッとした香ばしい味わいが拡がるのですが、二口目からは旨味も生まれ、続く三口目では、鮎の本質的な真の風味が、口福感と共に畳み掛けてくるのです。
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取皿は、約100年前の織部の器。 |
常連さんの中には予約の際に、この焼き鮎だけを追加で何本もリクエストされる方もいらっしゃるそうですが、その気持ちはよく分かりますね。私自身も、これは一度に5匹~10匹は食べたい! と思いましたから。正直、鮎愛好家の私でも、この焼き鮎を超える焼き鮎とは今まで出逢ったことがないですし、是非とも今度は初秋の頃に「
子持ち鮎」を食べにきたいと思います。