京都グルメ/京都の和食

山玄茶(2ページ目)

料亭「招福楼」で20年間腕を揮ってこられた増田伸彦氏が、昨年開店された「日本料理 山玄茶」。伝統を感じさせる料理の数々を愉しめる一軒です。

執筆者:麻生 玲央

極上の昼和食

では、昼5000円のコースから料理を御紹介。
・先附
雲丹と帆立、花山葵。
雲丹と帆立、花山葵を使った先附
九谷の器に盛られているのは、雲丹と帆立、それに花山葵を添えたもの。たっぷりの雲丹をかき分けると、中から香ばしい帆立が姿を現し、これを一緒に口に入れると、雲丹の甘さの中に帆立特有の旨味エキスが拡がり、酔いしれるほどの口福感が続きます。

それにしても、最初の一皿が雲丹と帆立の組み合わせで始まるなんて、昼5,000円とは思えないほどのコストパフォーマンスの高さ! これは嬉しいスターターですね。俄然、次からのメニューが愉しみになってきます。

・椀物
海老入り飛竜頭と煮麺の椀物。
海老入り飛竜頭と煮麺の椀物
椀物のタネは「海老入り飛竜頭(ひろうす)」と「煮麺(にゅうめん)」。そして、それらを包み込む出汁との一体感がとりわけ秀逸の一品。特に淡い風味の後に余韻として深く静かに残る昆布エキスは、老舗の系譜をきっちりと感じさせてくれる味わいです。

・お造り
お造り。
お造り盛り合わせ
続いて供されたのが、チーズをはさんだ鯛、鮪、水蛸によるお造り各種。

・八寸
春季の八寸。
春季の八寸
そしてお待ちかねの八寸が登場。内容は、鱒の木の芽焼き、鯛の小袖鮨、もち麩の田楽(自家製味噌)、卵の真薯、揚げ物はアスパラと小鮎、菜の花の胡麻よごし、静岡産しらすのみぞれ和え、のれそれと百合根の卵綴じ、の以上9種類! 

とりわけ「天ぷら」と「鮨」、それに「のれそれ」の卵綴じが印象に残る秀逸の仕上がりで、天ぷらは極みともいうべき揚げ具合でしたし、鮨も酢の塩梅と凝固感、素材との一体感が文句ナシ。卵綴じも「のれそれ」の食感が余韻として残る絶妙の火入れ加減! 和を極めた料理人の凄味というか、春を見事なまでに具現化した華のある八寸でした。

その店の実力は椀物で分かるといいますが、盛り付けのセンスや手間暇のかけ方は、八寸で分かると思うのです。

・炊き合わせ
筍と車麩の炊き合わせ。
筍と車麩の炊き合わせ
炊き合わせは、焼き目をつけた筍、蕗、車麩といった内容で、まさに春の香味をギュっと詰め込んだような一皿。

味わいも、ベースとなる出汁が、程良い甘さの山菜と合わさり、
渾然一体の仕上がりを魅せつけてくれます。まさに匠の技ですね。
次ページでは、旬を活かした炊き込み御飯や水菓子を御紹介します
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