ジャパニーズウイスキーの地位確立
輿水精一チーフブレンダー |
これが輿水チーフの香味設計時に抱いた響12年への想い。スタンダードスコッチの市場が確立されている欧州に向けて、12年というど真ん中の製品でジャパニーズの真価を問うのだから、これまでとは異なる感情があったことだろう。
その欧州でシングルモルト山崎の人気が年を追うごとに高まっているいま、響12年はジャパニーズウイスキーのグローバルな、より強固な地盤を築くために重要な製品となるはずだ。そして響12年、イコール、ジャパニーズスタンダードという意識につながれば、ジャパニーズウイスキーの将来は明るい。
すでにミズナラ樽熟成原酒が海外のブレンダーたちから高い評価を受けているが、梅酒樽後熟原酒や特色あるグレーンウイスキーをブレンドした響12年が加われば、つくり分けの匠の技、ジャパニーズウイスキーのオリジナリティをさらに伝えやすくなるのではなかろうか、とわたしは考える。
バーのハウスウイスキーへの期待
欧州での人気も気になるが、とにかく日本発売が待ち遠しい。価格は発表されていない。酒質からして、おそらくスタンダードなバーでリーズナブルな値段でサービスできる、ハウスウイスキーのポジションを担えるような価格になるのではなかろうか。わたしは4,000円~5,000円くらいに落ち着くような気がする。日本のバーで飲めるようになったら、ストレートで試した後、わたしはカクテル・ベースにして飲んでみようと思っている。響17年をマンハッタン・ベースに使って、スコッチ・ベースの「ロブ・ロイ」ならぬ「龍馬」と勝手に呼んで遊んでいた時期があったが、響12年もカクテルで愉しんでみたい。
梅酒樽熟成原酒の香味がどう転ぶかわからないが、ヴェルモットを選び抜いたりしながら遊んでみる。他のウイスキー・ベースのカクテルとよく合うかもしれないし、合わないかもしれない。それはそれで面白い。
では次ページでアードベッグ スーパーノヴァについて述べる。
(次頁へつづく)